ユニバーサルデザインとは 7つの原則や街中にある実例など

ユニバーサルデザインについて、意味や考え方、パラリンピックを契機に整備された「ユニバーサルデザイン2020 行動計画」の内容、ユニバーサルデザインの例、バリアフリーやノーマライゼーションとの意味の違いなどについて、詳しく解説していきます。

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ユニバーサルデザインとは

ユニバーサルデザインとは、「普遍的な、全体の」という意味を持つ「ユニバーサル」という言葉が示しているように、「すべての人のためのデザイン」を意味し、年齢や障がいの有無などにかかわらず、できるだけ多くの人が利用可能であるように最初からデザインすることを意味しています。

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ユニバーサルデザインの7原則

ユニバーサルデザインという言葉や考え方は、1980年代にノースカロライナ州立大学のロナルド・メイス氏によって明確にされ、7つの原則が提唱されています。

ユニバーサルデザインの7原則
  • 誰でも使えて手にいれることが出来る(公平性)
  • 柔軟に使用できる(自由度)
  • 使い方が簡単にわかる(単純性)
  • 使う人に必要な情報が簡単に伝わる(わかりやすさ)
  • 間違えても重大な結果にならない(安全性)
  • 少ない力で効率的に、楽に使える(省体力)
  • 使うときに適当な広さがある(スペースの確保)

ユニバーサルデザイン2020 行動計画

世界中から障害のある人も含めあらゆる人が集い、そして、障害のある選手たちが繰り広げる圧倒的なパフォーマンスを直に目にすることのできるパラリンピック2020競技大会は、この共生社会の実現に向けて社会の在り方を大きく変える絶好の機会として、ユニバーサルデザイン 2020 行動計画 が策定されました。1964 年の東京大会は、「パラリンピック」という名称が初めて使われ、車椅子使用以外の障害のある選手が初めて参加するなど、日本での障害のある人々の社会活動参画を促す大きな契機となったが、2021年の東京大会は、日本でのユニバーサルデザイン・共生社会の先進的な取組を世界に示す契機として捉えていました。

ユニバーサルデザイン 2020 行動計画では、障害者権利条約の理念を踏まえ、障害のある人もない人も基本的人権を享有し、スポーツ活動や文化活動を含め社会生活を営めるよう、人々の生活や心において「障害者」という区切りがなくなることを意味しています。詳しくは、首相官邸の「ユニバーサルデザイン 2020 行動計画」の資料をご確認ください。

ユニバーサルデザイン 2020 行動計画

ユニバーサルデザインの例

2021年のパラリンピック東京大会をひとつのきっかけとし、日本では世界に向けて先進的なユニバーサルデザインの街づくり、心のバリアフリーの実践を示すべく、積極的に推進してきており、ユニバーサルデザインの観点で様々な分野で整備されたのでその例を紹介します。

街中にあるユニバーサルデザイン

街なかの段差、狭い通路、わかりにくい案内表示等を見直し、障害の有無にかかわらず、すべての人が共に生きる社会に向けてユニバーサルデザインの街づくりに取り組まれています。高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)のもと、交通施設、建築物等の種類毎に目標を定め、個々の施設のバリアフリー化と地域における面的なバリアフリー化に全国的に取り組み、一定の水準まで整備が進んできています。身体障害(聴覚・視覚・内部障害、肢体不自由等)のある方向けの移動の円滑化については、段差解消やスロープ整備、エレベーター設置、バリアフリー化された駐車場の確保などを例として一定の水準まで整備が進みつつありますが、知的障害、精神障害(発達障害を含む)等様々な障害のある人(身体障害者補助犬を同伴した人を含む)も移動しやすく生活しやすいよう、さらに街中のユニバーサルデザインな街づくりが進んでいます。
街中にあるユニバーサルデザイン 点字ブロック

交通分野のユニバーサルデザイン推進

平成 28 年4月に施行された障害者差別解消法等を踏まえ、障害のあることのみをもって乗車や搭乗を拒否することや身体障害者補助犬を同伴した人を不当に拒否するといった差別的取扱いを行うことのないよう徹底されています。また、障害のある人のタクシー乗り場へのアクセス改善、リフト付バス、ユニバーサルデザインタクシー車両などの導入を例として、誰でも利用しやすい交通分野のユニバーサルデザインにも積極的に進められています。

駅ホームにおけるユニバーサルデザインの件店での安全性の向上の例

  • 鉄道車両における車椅子スペースの設置箇所数の拡大
  • 旅客施設における段差解消(バリアフリー化されたルートの充実等)
  • トイレ利用の円滑化に資するトイレ環境の整備
  • 移動制約に応じた緊急時を含む情報提供の充実

ユニバーサルデザイントイレ

デパートや公共施設で普及し始めた多目的トイレ・オムツ交換台は人間工学、文化、医学などと垣根を越えた形で、あらゆる人にとって快適に利用できるユニバーサルデザイントイレとしてこれからますます普及が期待されます。使う人への配慮の少なかった建設・設備の時代から「できるだけ多くの人が快適に」という形ができてきています。
多目的ユニバーサルトイレとは おむつ交換台が外出機会を増やす

 

ユニバーサルデザインフード

ユニバーサルデザインフードの選び方

介護で重要な栄養摂取と誤嚥予防、自立支援のために、農林水産省が中心となって新しい介護食品「スマイルケア食」、日本介護食品協議会が進める「ユニバーサルデザインフード」などの規格化が行われています。ユニバーサルデザインフードの商品の基準を「かたさ」や「粘度」の規格で4つの区分と「とろみ調整」という表示で統一しています。

教育におけるユニバーサルデザイン

学習指導要領改訂において、道徳をはじめとして音楽、図画工作、美術、体育などの各教科や特別活動等において「障害の社会モデル」を踏まえ、「心のバリアフリー」に関する理解を深めるため指導や教科書等を充実させています。

ユニバーサルデザインとバリアフリーの違い

バリアフリーは、人を隔てたり、行動を妨げたりする障壁をなくすことをあらわす言葉です。

バリアフリーを考えるとき、物理的バリア、制度のバリア、文化・情報のバリア、意識のバリアという4つのバリアを特別な対策をして取り除いていくことですが、ユニバーサルデザインの場合には設計や導入の段階から年齢や障がいの有無などにかかわらず誰もが使いやすい・利用しやすいように配慮されているという点が違っています。

ノーマライゼーションとユニバーサルデザインの違い

ノーマライゼーションとは、「障害者はあたりまえの、普通の、生活を送る権利があり、その生活を支える社会を構築する」という社会理念のことです。ユニバーサルデザインの考え方と近い内容です。

ノーマライゼーションは、障害のある人という対象に対して当たり前に普通の生活をできるという社会システムの側面が強い言葉であることに対し、ユニバーサルデザインはいろいろな特性を持つ人で構成される社会全体で、誰でも利用しやすい、生きやすい設計をあらかじめ作っていくという意味なので、対象が少し違います。一方で、ノーマライゼーションの理念でも、ユニバーサルデザインの考え方でも、障害の有無等に関わらず、みんなが暮らしやすい世の中を目指すという方向性は似ています。

ユニバーサルデザインの問題点

ユニバーサルデザインな街づくり、商品制作などを進めることは、障害者や高齢者などもみんながあまり気を遣わずにさりげなく使いやすい世の中に近づくために有意義であると考えられます。あまりデメリットや問題点はないように思われるかもしれませんが、あえてユニバーサルデザインの問題点を挙げるとしたら、「バリアフリーの視点で個々の疾患や障害に合わせて対策されたものに比べると、みんなに使いやすい反面、ちょっと使いやすさに欠ける状態になりやすい」という点です。これはユニバーサルデザインに取り組み、どんな人でも利用しやすい状態を広めていくために永遠の課題になると思いますが、本当にすべての人が利用できるものというのは難しいのです。99%の人が利用できるものでも、障害の状態などによっては1%の人が利用できずに困ってしまうということはあります。バリアフリーの観点でその方の身体状態や症状に合わせて完全にカスタマイズされていればもしかするとその1%の人も快適に利用できるのかもしれませんが、難しい問題です。

しかし、このように障害の有無やいろいろな特性を持った人がいることを理解し、多様な利用想定をしながら少しでも快適に社会生活や活動を行えるように考えていくことがユニバーサルデザインの素敵なところであり理念でもありますので、今後もこのユニバーサルデザインな社会設計・商品やサービスの普及の方向性で広まっていくと良いと思います!

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