手首型血圧計と上腕式血圧計の誤差や精度の違いの原因

 

手首式血圧計と上腕式血圧計の誤差や精度の違いは?どっちが正しい?テルモ、オムロン、シチズン、タニタの測定方法と注意点を比較。

介護や訪問看護、在宅での健康管理などのバイタルサインの一つとして血圧測定はとても身近です。
しかし、高齢者は厚着をしており、上腕式の血圧計では腕まくりができず気軽に測定ができない…という悩みがあります。
そこで活躍するのが「手首式血圧計」ですが、上腕の測定値しか信用できない、毎回誤差が大きい、低く出る、高く出るなどといろいろ言われがちです。
介護健康福祉のお役立ち通信では、いろいろなメーカーの取り扱い説明書やQ&A、アマゾンなどの評価・評判を調べて、使用の留意点をまとめてみました。
結論から言うと、手首式血圧計も上腕式血圧計も医療機器で、同じ条件ならば誤差はほとんどでません。

ただし、血圧の定義は、水銀柱血圧計でマンシェットによる手動操作、聴診器による上腕動脈の拍動聴診のよる値なので、その値に対して全く同じかというと違いは生じます。
デジタルで自動で測定される血圧測定精度は一定に近いですが、測定方法をしっかりと守れないと測定値も異なってしまいます。

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血圧測定が命に関わる測定値か、健康管理の一環か

血圧測定する意味はおよそ2通りあると思います。

生命にかかわるような場面での血圧測定

手術や衰弱、大出血、急変などで生命にかかわるような場面での血圧測定。この場合はその一瞬の値の正確さが求められるため、原則手首式血圧計は使わず上腕型です。
また、血圧の定義は、水銀柱血圧計でマンシェットによる手動操作、聴診器による上腕動脈の拍動聴診のよる値なので、医療機関や循環器や内科系に精通した医師、看護師の方では、水銀計での測定を推奨する方も多くいます。水銀計による血圧測定は医療行為であり介護職員等は実施できないため、ケースにより合わせていきましょう。

健康管理のバイタルチェックとしての日々行う血圧測定

健康管理のバイタルチェックとしての日々行う血圧測定。こちらは毎回チェックし、その人にとっての平常値との違いがないかという点で体調の変化などに気付く目的で行います。
血圧の単位は、mmHg(ミリメートル水銀柱)です。腕の血管を血液が流れる音と、その時の水銀柱の高さで血圧を測定しています。これが本当の血圧で、電子式はそれに対応するような形を再現している機器です。バイタルサインの測定として日常的にとる場合には、最近はスマートウォッチで簡易的な血圧・脈圧などのバイタルサインを表示する機能がついているものも出てきています。スマートウォッチ等のウェアラブル端末の場合は圧を加える測定でなく、現段階では説明書にも「血圧の参考値」というニュアンスで表記されておりますので、血圧の目安程度と考える方が無難です。バイタルチェックについては、こちらの記事も併せてお読みください。

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テルモ手首式自動電子血圧計の添付文書

テルモ 手首式デジタル血圧計
病院でも多く採用されているテルモからも手首式の電子血圧計が発売されています。
ちなみにテルモが発売していますが、医療機器としての承認を取って製造しているのは株式会社エー・アンド・ディが多いです。

テルモ 手首式デジタル血圧計は、仕様説明に「臨床性能試験による血圧測定の誤差: 聴診に対する平均誤差±5mmHg 以内 標準偏差 8mmHg 以内 」と書かれています。ちなみに他者もだいたい同じ精度です。

手首式血圧計や血圧測定での測定値の誤差について

  • 測定部位の血流が少ない場合や血管音が非常に小さい場合、不整脈のある場合、血管雑音が多い場合は、医師に相談の上、慎重に使用する。[被測定者の体質や手首の形の影響により測定値に誤差が生じたり、測定できない可能性がある。]
  • 上腕部の測定値との差を考慮して健康管理すること。[高血圧症、脂質異常症、糖尿病等により動脈硬化が進み、末梢循環障害を起こしている場合には、上腕部と手首の血圧値が大きく異なる可能性がある。]
  • 測定する手首が水や汗等で濡れている場合は、必ずよく拭き取り、乾いて から使用する。[内部に水が浸入し、故障や測定値の異常の原因となる。]
  • 腕時計等は外し、素肌に直接カフを巻くこと。[測定精度が保証できない。]
  • 使用の前に外観に破損等が無いことを確認し、異常が認められた場合は使用しない。[測定値の異常や、けがの可能性がある。]
  • いつも同じ側の手首で、手のひらを上に向けて測定する。[右の手首と左の手首では測定値に差が出ることがある。]
  • カフの締め付けを、必要以上にきつくしない。痛みを感じたら、カフを外すこと。

<測定中の注意事項>

  • 血圧計は、常に心臓の高さに保つ。[高さのズレは誤差の原因となる。]
  • カフは、測定部位に正しく装着する。[誤った装着は誤差の原因となる。]
  • 血圧は以下の要因で変動するため、注意する。 時刻や季節、高血圧治療などの薬剤、飲食(アルコールを含む)、喫煙、身体活動、精神的緊張、入浴、尿意、会話、その他の環境(病院での受診中など)、測定姿勢、不整脈 ・ 異常加圧が発生した場合は、[スタート/ストップ]ボタンを押す。カフから空気が急速に抜け、測定が中止される。
  • 安静な状態で測定する。[測定値が変化することがある。]

引用:テルモ電子血圧計 T300 添付文書 (2010 年 6 月 28 日)

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オムロンの手首式血圧計で正しく血圧測定するための注意点

オムロンの手首式血圧計

安心して正しく測定するための「正確測定サポート機能」

  • 正しく測定できる手首の位置をお知らせする「測定姿勢ガイド」
    手首式血圧計では、測定時に手首が心臓の高さと一致することが正確測定のポイントです。そこで、測定時に手首の高さが正しい位置になると、液晶画面上に青色のランプと「測定姿勢チェックマーク」が点灯してお知らせ。手首が適切な位置でない場合は、オレンジ色のランプが点灯するので、正しい姿勢を簡単にとることができます。
    測定後は、測定結果と一緒に、正しい手首の位置で測れたかどうかを液晶画面に表示します。
安心して正しく測定するための「正確測定サポート機能」
  • カフが正しく巻かれているかどうかをお知らせする「カフぴったり巻きチェック」
    測定のたびに、カフが手首に適切な強さで正しく巻けているかをチェックし、画面でお知らせ。正しいカフ装着をサポートします。

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シチズンの手首式血圧計での血圧測定の誤差について

手首式の血圧計の場合は、上腕と比べて手首の血管が細いため高くなることがあります。(心臓より低い位置=高めになりやすい、心臓より高い位置=低めになりやすい)

引用:電子血圧計:よくあるご質問:電子機器:シチズン・システムズ株式会社(2017年2月5日)

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タニタの手首での血圧値と上腕での血圧値の差について

タニタの手首血圧値

手首の血圧値と上腕の血圧値

一般的に血圧を測る場合には上腕部で測定しますが、手首での測定は、測定部位が違いますので、値は必ずしも一致するというわけではありません。測定部位が変わると、健康な方の場合でも、最高血圧、最低血圧ともに±10mmHg程度測定値が変わると言われています。
また、高血圧や高脂血症により、動脈硬化などが進んでいたり、循環障害がある場合、上腕部の血圧値と、手首での血圧値では大きな差が出ることがあります。この様な場合にはご自分で判断なさらず、必ず医師や専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。
血圧というのは1心拍ごとに変化しており、その時の心理状態や、体の状態によっても影響を受けます。それは上腕部でも手首でも同じように影響を受け、変動します。
上腕測定の血圧計、手首測定の血圧計を状況に合わせて使い分け、血圧を測定し、健康管理にお役立てください。

上腕で測定した値と違うのですが・・・

測定部位が違いますので、手首と上腕部の測定値は必ずしも常に一致するというわけではありません。また、測定の際、手首の高さが心臓の高さと異なる場合、測定の値が大きく変わってきます。測定の姿勢、手首の高さは常に意識しましょう。
引用:タニタ 手首式デジタル血圧計 BP-210 取扱説明書 (2017年2月5日)

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手首式も上腕式も測定方法を守れば日々のバイタルチェックで利用可能

さて、ここまで各社が示している血圧計の誤差についていろいろとピックアップしてきました。
私たちお役立ち通信としては、手首式も上腕式も共通して言えるのですが、毎回同じ正しい条件で測定していれば測定値として意味があると考えます。

誤差は測定方法の違いで血圧測定の精度は確保されている

上腕式と手首式で、測定値が高く出るという話や、測定値が低く出るという話、測定した血圧値が毎回違っていて信憑性がないなど、いろいろな話を聞きます。
例えば高血圧だから測定を始めた人が、病院で測ったときよりも高い血圧が出ると焦ったり困惑したりします。
そしてたまにですが、ベルトを緩くしてみたり、巻く場所を変えてみたりして、病院で測定した血圧を基準にしてそれに近い測定値が出る方法を探したりしてしまいます。
その方法が取扱説明書に載っている測定方法ならばよいですが、自分なりに肘の曲げ具合を変えたり、顔の前まで手を挙げて測ったりというアレンジをしてしまうと測定そのものに信憑性がなくなります。

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正しい方法で血圧測定することが大切

手首式デジタル血圧計による血圧測定について、各社の注意書きをまとめてみます。

動脈硬化があると、抹消の血流が少なくなり正しい血圧が測定できない

高血圧症、脂質異常症、糖尿病などで動脈硬化があると、上腕部と手首の血圧値が大きく異なることがあります。

また、動脈硬化の程度により、上腕型血圧計で測定するよりも収縮時血圧と拡張期血圧の差がより大きくなこともあります。

手首型血圧計で正しく血圧測定するために素肌に直接カフを巻く

手首型血圧計のメリットは、セーターや長袖を着ていても簡単に直接巻くことができることです。手首はもともと肉や皮下脂肪の少ない部位です。衣類の上から血圧計のベルトを巻いたり、ブレスレットや腕時計などがベルトと接触していたりしないよう注意して、肌に直接カフを巻いて説明書通りのたわみ具合で統一して測定することが誤差を減らすために大切です。

血圧測定時に手首が心臓の高さと一致することが正確測定のポイント

血圧の測定値は手を高く上げて血圧を測れば、血圧は低く出ます。特に手首型血圧計の場合には、心臓より離れた位置で測定するため、手を下げて血圧を測れば、血圧が高く出まるという差が大きくなります。血圧は血管にかかる圧なので、高い位置に手があると、血が通いにくくなり、血圧は低い傾向になります。

いつも同じ側の手首で、手のひらを上に向けて測定する

血圧測定をするときは、手を開いて手のひらを上にします。握っていると筋肉の収縮や手の指や掌の圧で血圧が高く出ます。毎回同じ条件で測れるように、わかりやすく再現しやすい姿勢にしましょう。

背筋を伸ばし、顔を上げた姿勢で測定する

うつむいた姿勢だと、内臓が圧迫されたりして腹圧がかかり、血圧が高めに出る傾向があります。呼吸状態も変化しやすいため、次に測定するときとの差が出やすくなります。

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手首式も上腕式も医療機器、血圧測定方法に気を付けて健康管理

さて、手首式血圧計についていろいろ調べてみました。
血圧計の多くは医療機器です。承認を得るまでに一定の臨床試験を行い、ほとんどの機種において誤差は±5mmHg~10mmHg以内の精度になっています。
血圧計は正確に値を出しますが、誤差は測定するときの姿勢や巻き具合などから生じてきます。
血圧は、非常に繊細なもので、圧をかけて血を止めて、また流れ出した時の音を拾って測定値にしていますので、姿勢、位置、音、呼吸などちょっとした変化でも測定値が変化します。。

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血圧測定は毎回同じ機器、条件で 普段との違いを観察

正しい方法で血圧測定しても、中には上腕型で測定したときよりも高めにでる血圧計もあると思います。
それでも毎回同じ機器、同じ方法、同じ時間に血圧測定していれば、いつもより血圧が高い、血圧が低い、脈拍が違うという変化に気づけます。
手首式血圧計について批判的な意見もありますが、自宅での健康管理やデイサービス・老人ホームなど施設でのバイタルチェックで血圧や体調の変化を観察するためならば便利で有効と考えられます。

心臓は1秒に1回程度の拍動を打っていますので、カフの圧が抜けるときのタイミングでもずれますし、寒気がすれば抹消の血管が引き締まり高めになります。
常に血圧は変化しているものなので、せめて測定するときの方法に気を付けて、本人の状態と、血圧計の取り付けの状態を毎回同じにして、誤差の少ない測定にしましょう!

「バイタルチェック」については、こちらの記事も併せて読まれています!

「動脈硬化」については、こちらの記事も併せて読まれています!

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固定型の血圧計は一番条件が安定するためおすすめ

オムロン デジタル自動血圧計
血圧測定では、正しく測定できる姿勢が大切なので、毎日の血圧測定のために置く場所を決めて手を入れるタイプの大型の血圧計もお勧めです。

例えば介護施設やデイサービスでも、ご利用者自らが進んで血圧計に向かい、自発的に血圧測定を行うというスタイルは、自立支援にも役立ちます。

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