呼吸状態の評価と記録 バイタルサインの正常異常と観察についてまとめました。
呼吸のリズム・パターン、呼吸補助筋の観察法、正常な呼吸回数と過呼吸・頻呼吸・徐呼吸の症状と実際の診かたが書かれています。
人間は常に一定量の酸素を必要とするため、呼吸を続けています。異常な呼吸は、何らかの理由で体内に酸素が取り込めないことや、酸素が必要な分より多い場合や少ない場合などです。
呼吸の観察は実際の場面では1分間は行うようにして、呼吸量やリズムがどういう事なのか、意識的に変えているのかなどを見ておいたほうが良いです。

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呼吸の診かた・呼吸観察の意味

生命徴候(バイタルサイン)としての呼吸の観察

呼吸は血圧、脈拍、体温などとともに主要なバイタルサインの1つです。呼吸はバイタルサインの中で唯一意識的に変化されることができるという特徴 があり、数値で表せる他のバイタルサインと違い複雑な評価になります。

呼吸器系の障害の評価としての呼吸の観察

呼吸器系に何らかの障害をきたした状態は、生命を維持する機能や、運動を持続する機能の障害としてとらえます。それぞれの方の状態を理解し、呼吸障害が何を意味し、どのような影響を及ぼしているのかも念頭に置きながら自分で解決できるか迅速に判断します。

呼吸状態の評価 伝達・記録

バイタルサインとして一般的に観察されるのは「呼吸数」だけで、そのほかは特別な機器を用いない限りは主観的な観察になります。
しかし、呼吸数だけを観察し、記録や伝達しても対象者の呼吸状態を把握・解釈することは困難です。
呼吸観察の代表としては以下のような項目があり、複数の情報を集めると情報量が増えて詳細に呼吸状態を把握することに役立ちます。

呼吸のリズム・呼吸のパターンの観察と評価

正常な呼吸パターン・呼吸正常な呼吸数

呼吸を観察する時は、必ず1分間通して観察して測定します。正常な安静時の呼吸数は1分間に12~16回と言われますが、高齢者や小児ではやや異なります。
呼吸のリズムは、吸気1 呼気1.5 休止1 となっており、正常な場合は規則的です。
正常な呼吸のリズムは吸気1、呼気1.5、休止1
必要に応じて、咳嗽(がいそう:咳[せき]のこと)、喀痰(かくたん:痰を出すこと)の観察も加えます。
意外と忘れがちなのが、皮膚の状態の観察です。汗をかいているか、乾燥しているかということも観察します。

呼吸と合わせて評価する所見 口唇や爪のチアノーゼ、ばち指は低酸素血症の徴候

呼吸の異常と合わせて出現しやすい所見として、チアノーゼという皮膚・粘膜が青紫色に変化する症状があります。チアノーゼでは毛細血管内血液の還元ヘモグロビン濃度が5 g/dl以上になるいわゆる低酸素血症の時に出現しやすいです。

呼吸に合わせた胸郭の運動性の観察と評価

呼吸時の胸郭の運動性の観察と評価では、呼吸運動に伴う胸郭の動きと、左右差を観察します。
呼吸補助筋の使用具合を観察します。正常な状態では呼吸補助筋は使用せずに横隔膜で呼吸しています。
異常な呼吸を続けていると、頸部呼吸補助筋(胸鎖乳突筋、斜角筋群など)の肥大がみられることがあります。
胸郭の拡張性に左右差はなく、前胸部はわずかに前上方に、下部肋骨はわずかに外上方に拡大し、胸や肩の動きと比べ腹部の動きが大きくなっています。

臥位(臥床状態)・座位・立位での呼吸運動の変化

臥位では腹式呼吸が優位になります。座位・立位では、臥床の時と比べるとやや胸式呼吸が優位になります。

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過呼吸・頻呼吸・徐呼吸・咳嗽などの呼吸の異常の観察

呼吸の分類、過呼吸、浅呼吸、頻呼吸、徐呼吸、無呼吸
正常な呼吸回数は1分間に12~16回であるのに対し、異常とされる「徐呼吸」は1分間に10回以下の呼吸、「頻呼吸」は1分間に24回以上の呼吸と言われます。
徐呼吸は中枢性の呼吸抑制などの原因などにより引き起こされることがあります。
また、頻呼吸は、心疾患、ショック(急な血圧低下)慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アシドーシス(血液の酸性度が高くなりすぎた状態)などが原因となることがあります。

過呼吸の発生しやすい時、過呼吸の対応方法

過呼吸は運動後などに生じやすく、動脈の中の酸素分圧が上昇した状態で、1回換気量が増大した深い呼吸をして必要以上の換気活動をおこないます。
紙袋を口に被せて、二酸化炭素が多く含まれる自分の呼気を再び吸わせるという方法が知られていますが、最近はあまり推奨されていません。
過呼吸になったら、息を吐くことを意識させ、ゆっくりと深呼吸していただくようにします。

過呼吸の時は「吸う:吐く」が1:2の割合で呼吸するよう「吐くこと」意識していただき、1呼吸に10秒くらいかけて、少しずつ息を吐き、また息を吐く前に1~2秒くらい息を止めるというリズムを補助すると良いとされています。

呼吸観察における呼吸困難

呼吸困難とは、喚起運動に伴って生じる不快感や努力感のことです。
呼吸困難の症状は 【いつから、どのようなとき、どのくらい、どのように、随伴症状、持続及び回復時間 など】を観察します。

咳嗽(がいそう)の観察

咳嗽とは、吸入された異物を核出する防御反応のことです。
咳嗽の症状は 【急性か慢性か、どの程度か、乾性か湿性か、どのようなとき、どのようなきっかけで、発作性の有無、喀痰を伴うか など】を観察します。

喘鳴(ぜいめい)・胸痛の観察

既往歴、アレルギーなども参考にしながら、喘鳴・胸痛なども併せて観察します。

肺疾患での呼吸機能検査

COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸機能検査では、ぜんそくの検査でも用いられる、スパイロメーターという機器を用いて肺の機能をチェックして評価・診断が行われます。

ピークフローメーターとスパイロメーターの違い

ピークフローメーターは喘息の症状コントロール状況をつかむために用いられ、5000円ほどで市販されています。ピークフローメーターを使用すると、ピークフロー値がわかります。
ピークフロー値とは、呼気(吐き出す息)の最大風速のことです。調子が良い状態に比べ、どれくらい勢いよく息が吐けるかという値を喘息の管理の目安として用いています。
スパイロメーターは、ピークフローメーターのように簡易的なものでなく、精密機器で10万円以上します。スパイロメーターの方は、息の量も測れます。1回換気量、肺活量、予備呼気量、予備吸気量、最大吸気量が測定できます。

努力性肺活量(FVC:Forced Vital Capacity)

努力性肺活量(FVC)は、最大吸気位からできるだけ速く息を吐ききって得られる肺気量変のことです。

1秒量(FEV1)

1秒量(FEV1)は、最大に吸った状態から、1秒間に吐いた量です。

1秒率(FEV1/FVC)

1秒率は、1秒間に吐いた量と、息を最大に吸った状態から吐き切った状態までの量の割合です。健常者は1秒で70%以上吐き出せますが、COPDなどの肺疾患患者は1秒に70%未満の量しか吐けません。

介護場面では観察とできるだけ詳細な把握と連絡共有が大切!

介護場面では、呼吸の異常を発見した時に大切なのは、「詳細な呼吸状態を把握して伝えること」です。
介護職やリハビリ職のみでは医学的判断はできません。
医療スタッフや救急隊は、呼吸の状態を把握するために触診・打診・聴診・血液検査・胸部画像(X線写真や胸部CT写真)、肺機能検査、そのほか所見をいろいろ考慮して判断していきます。
この時の制度や判断を早めるためにも、呼吸の異常や障害が発生した時の様子を詳細に観察・記録・伝達することが大切です。

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