個別ケア、認知症ケアの誤解。その人の背景も生活歴も知らずに、お客様を歌や踊りでおもてなしをしたり、無理に脳トレさせたりを推奨しないで欲しい。
この記事では、学問的に認知症ケアを考えず、感情的に認知症ケアを考えていきます。

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「認知症ケア」を宣伝するのは、大規模施設ばかり

認知症ケアを考えるときに接し方や脳機能そのものが最も注目されますが、環境要因も大きな要因だと思います。
若い世代からしたら、新築の綺麗なところの方が嬉しいでしょう。
認知症の方が老人ホームなどに入居することを決めると、新築物件に合うように、じいちゃんばあちゃんが長年使ってきた家具は捨てて、新品を買ってきます。
ただでさえどこだかわからなくなりやすい状態なのに、みたことない家具が置かれた部屋で落ち着けるわけありません。

毎日バイタル・排泄管理、看護師常駐、定期診療、医学的管理でしょ

「病は気から」と言う言葉ありますが、ほとんどの高齢者施設でバイタルチェックやその他の観察が行われます。
高齢者は若者と比べると体調を崩した時に急変に至りやすいことは確かですが、このような環境では働いている職員はピリピリです。
専門職には、専門職としての役割があり、看護師として、医療従事者として…というアイデンティティを発揮してしまいやすいです。
家族や親せきの方は、施設の設備や有資格者が充実していると「これで安心」などと思っているかもしれませんが、職員も入居者も病院モデル(医学モデル)の延長に置かれてしまいます。
この点を生活ベースに構築していくには、施設の運営者も含めたコンセプトワークと、そのコンセプトを十分に利用者や家族に理解してもらうことが重要となります。

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認知症ケアの先駆者は「宅老所」

現在は介護保険法で通所介護(デイサービス)として整備されてしまいましたが、必要性に駆られ強い思いをもった方々が編み出した日本特有の宅老所という場所があります。
通所介護は法人格があれば参入できるという緩和がなされ、更に利用者が確保できていれば定額報酬が入ることが注目されてしまいました。
介護サービスは資本主義の仕組みで競争となり、サービスが向上すると予測されましたが、実際には競争は本来の介護と離れた付帯サービスの部分で競争が激化して淘汰される時代になりました。
認知症ケアといい、計算ドリルをする「学習塾型」、カラオケをする「宴会型」、マッサージやアロマテラピーを行う「癒し産業型」などなど。
「介護は継続する生活にそっていること」が重要ですが、関係のないサービスの部分が進歩して、一時的に楽しい「コンテンツ」となっていきます。

生活環境… その方を取り巻く○○環境に注目して介護を

「新しい私、デビュー!」というCMが数年前にありましたが、認知症の高齢者に求められるのは「過去の生活」と「現在」のギャップを少しずつ埋めていくことだと思います。
認知症の多くの方が、環境が変わったことで発症しています。高齢者に今まで行ったこともないようなことを行わせて「新しい私をデビューさせること」を促すことは、ほとんどの場合ストレスを伴うため逆効果となります。
みんなそうですが、自分が生きた時代と目の前に広がる世界が変わってしまったら「俺の役割はなさそうだな。時代は終わったな。」という気持ちになります。
更に、訳のわからない計算ドリルや間違い探しをやらされて、幼稚なレクレーションに無理に参加させられて、大和魂はずたずたです。
もちろん、症状が進んだりして分かりやすく抽象化したゲームなどなら楽しめるという方も中にはいます。

これは主観ですが、認知症の方は嫌だった時代を忘れたくて、良かった時代に戻ろうとする退行があるのではないかと考えています。
よく「認知症だと新しいことは忘れてしまうけど、若いころのことは覚えてる」と言います。
誰でも青春時代、バリバリ働いた時代、子育てに奮闘した時代の方が思い出(記憶)が多いということでしょう。
そして多くの思い出が美化されて、良かった時代だと思うのだと思います。

脳はホメオスタシス(恒常性)を維持する

高齢者になるとホメオスタシスが低下して、病期になりやすいと言われますが、ストレスの少ない状態を維持しようとする機能はいろいろな面に及びます。
ホメオスタシス維持のメインは脳幹部分で、初期のアルツハイマー病で海馬が萎縮してもその機能の影響は少ないと考えられます。
ホメオスタシスはエアコンの自動設定みたいなもので、環境とかなり密接に関係して自動運転されています。
「ストレス」は精神的ストレスのことであると思われてしまいますが、身体・精神・人間関係・環境まで含めて、自分に害があることはみんなストレスです。ストレスがあっても、自分を保つために身体や心はいろいろな防御反応、代償、逃避などを行ってしのぎます。

認知症ケア=脳トレ? 実際は地獄の時間かも

認知症で感情が鈍ってきたとしても、自分にとって不愉快なことやストレスなことは本能的に避けます。
認知症ケアだと言われて、介護の場面で取り組まれている「脳トレ」のような自分の能力を再確認するようなことは自尊心を大きく傷つけ、地獄の時間になることもあります。
広義の「ストレス」と「ホメオスタシス」のレベルからその人のことを考えていくと、認知症ケアの根本が見えてくるかもしれません。
私も記事を書きながら整理しています(笑)一緒に考えてみましょう!

新オレンジプランの概要

高齢化の進展に伴い、認知症の人は増加しています。2012年に460万人だった認知症の有病者は、2025年には700万人になると将来推計が発表されています。認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて、認知症の人が住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けるために必要としていることに的確に応えていくために、7つの柱に沿って、施策を総合的に推進していくこととしています。

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