認知症の認識に変化を 高齢者は保護の対象ではなく人生の主人公

「認知症」は、年齢とともに物覚えが悪くなる「物忘れ」とは違い、何かの病気によって脳の神経細胞が壊れるために起こる症状や状態のことをいいます。
アルツハイマー型認知症や、脳血管性認知症などの分け方があることは周知されてきました。
自分が体験したことそのものを忘れたり、忘れたことを自覚していなかったりするのが認知症の特徴です。そのため、日常生活に支障をきたす場合も多いです。
およそ30年前、「認知症」を「痴呆症」と呼んでいた頃、身体拘束なども珍しくないのが認知症介護の実態でした。

高齢者は、『保護の対象』ではなく、人生の『主人公』

そのような実態を疑問視し、認知症介護の世界では"異端児"と呼ばれている和田行男さんは、「高齢者は、『保護の対象』ではなく、人生の『主人公』なのだ」と声を挙げ、一人一人の「人間力」を信じ、支える側の人間がいかにその人の「生活の姿」を維持できるかということに介護者としての役割を見出しています。

認知症の人がしてはいけないこと、してもいいことって?

それは、「何をしなければいけないか」ではなく「何をしてはいけないか」という発想です。
もちろん、自分のことを自分でいたくてもできない状態であれば、支援のあり方として必要なことを「してあげる」ことは当然です。
しかし、「自分のことを自分でできる」「助け合ってできる」状態であるにもかかわらず、一方的に「してあげる」という価値基準や仕組みは、どう考えても問題です。
生きていく過程のなかで、「認知症」という状態になった人を支援する側が、一方的・画一的に「認知症」を捉えて、「特別な人」にしてしまいます。
すべてを失っていないにもかかわらず、人が生きる世界から遠くに追いやって介護の世界に閉じ込め、「認知症老人への認知症介護の質」を語り合っているのが現状としてあります。

認知症とはこういうものという誤った枠組み

さらに、普段「認知症」に関して触れる機会がほとんどないにもかかわらず、「認知症とはこういうもの」という決めつけを私たちがもっていることも事実ではないでしょうか。
また、和田さんは自身の著書『大逆転の痴呆ケア』のなかで次のように述べています。

「痴呆」をくっつき虫に例えるなら、くっつき虫に人がくっついたのではなく、人にくっつき虫がくっついたのであって、私たちはくっつき虫(痴呆)から語ってはならない
参考:大逆転の痴呆ケア

「認知症の○○さん」「○○さんは認知症」

言葉はその人の認識を見事に表します。「認知症の○○さん」と「○○さんは認知症」では、意味がまったく異なってくることに気付きます。
人に認知症というくっつき虫がついているだけで、その人がその人であることは変わりません。その人と向き合うときの自分自身の心持ちや態度、もっと言えば思想そのものが人として向き合っていることが大切なのです。

注文をまちがえる料理店

みなさんは、六本木に期間限定でオープンした「注文をまちがえる料理店」という少し不思議な名前のレストランを知っていますか?
このレストランで接客を担当するのは、全員が認知症と診断された方々ばかりです
大きな注目を浴び、Facebookページや、発起人の 小国 士朗さん の書籍も出版されています。

注文をまちがえる料理店のつくりかた
「間違えることを目的にはしていないが、もし間違えても許してね」をコンセプトにしたこのレストランは、舌をペロッと出したお茶目なロゴマークが印象的です。
サラダにスプーンを付けたり、ホットコーヒーにストローが付いてくることもあります。挙句の果てに、お店の看板を見て、「注文をまちがえるなんて…酷いレストランだねぇ」と笑い飛ばすおばあさんまでいます。もちろん、レストランとしては滅茶苦茶ですが、お店のなかはさまざまな場所でコミュニケーションが生まれ、お客さんもスタッフもみんなが笑顔なのです。
完璧が求められる社会で、ちょっとした間違いを「まぁ、いっか」と言ってもらえるだけで、そして言えるだけで、私たちの社会はもっと優しさに溢れた社会になるのではないでしょうか。

介護福祉分野でもクラウドファンディングの活用が進んでいます

「注文を間違える料理店」は、クラウドファンディング(CrowdFunding)のREADYFOR (レディーフォー)を利用して支援者や資金を受けて実現されました。
READYFOR (レディーフォー)の「認知症の方と作る「注文をまちがえる料理店」広がれてへぺろの輪」で確認できます。
クラウドファンディングとは、様々な理由でお金を必要としている人に対し、 共感した人がインターネットを通じて多数の人から資金を募る仕組みを言います。
1人の強い想いだけでは実現できないことも、広く発信して賛同する人たちの力を借りれば実現できる仕組みが出てきています。
そのうねりは大きくなり、日本や世界全体へのアクションや思想の変化につながるかもしれませんね。

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