難病医療費助成 重症度基準に満たない「軽症かつ高額」の制度
 

難病医療費助成の認定は、診断基準と重症度基準の2つを満たしているかどうかを審査することにより行われます。原則として、審査の結果、診断基準と重症度基準の2つの基準の両方を満たした場合には、指定難病医療給付制度の医療費助成の認定を受けることができます。

特定医療費(指定難病)受給者証とは

「特定医療費(指定難病)受給者証」とは、日本の厚生労働大臣が定める特定の難病(指定難病)の患者に交付される医療受給者証です。この受給者証を提示することで、医療費の自己負担が軽減されるなどの支援を受けることができます。

しかし、難病の診断基準は満たすものの、服薬等の治療によって症状が抑えられたり、自主的な努力によってほかの機能で補って重症度が軽く出たりした結果、重症度基準を満たさない(軽症)という場合も考えられます。

このような場合でも、対象期間内に一定額以上の医療費がかかっている方について、医療費助成の対象として認定し、患者さんの負担軽減を図るものが「軽症かつ高額」の制度です。

難病医療費助成 重症度基準に満たない「軽症かつ高額」の制度の対象

重症度基準に満たない「軽症かつ高額」の制度の対象は、医療費助成の対象疾病にかかっている(診断基準を満たす)が、症状の程度が一定以下(重症度基準を満たさない)の患者です。

以下の基準を満たした方は申請が認定されます。

申請が認定される条件は、医療費助成の申請をした日の属する月以前の12か月以内(申請月を含む。なお、発症日が申請日から過去1年未満の場合は、発症日から)において、申請した難病にかかった医療費または難病医療費助成対象の介護サービス利用料の総額が、33,330円を超える月が3か月以上あることです。

なお、申請した難病にかかった医療費または難病医療費助成対象の介護サービス利用料の総額が33,330円というのは、自己負担が医療費全体のことでですので、自己負担に直すと以下のような目安になります。

医療機関等での支払における自己負担割合 月当たり自己負担額(目安)

3割 10,000円
2割 6,670円
1割 3,330円

重症度基準に満たない「軽症かつ高額」の制度の対象であるかの確認方法

① 医療費申告書に領収書等を添付(新規申請の場合)
② 自己負担上限額管理票(更新申請の場合)

※ ②の場合又はこれらの記載が不十分な場合には医療費申告書に領収書等を添付
・特定医療費の支給対象となり得る介護保険サービスに要する費用は含み、入院時の食事療養費・生活療養費は除く。

難病の診断を受けたが、重症度基準に満たない軽症者で医療費が33,330円かからない場合の支援も課題

指定難病とは、「特定疾患」とも言われ、2021年11月(令和3年11月)現在は338種類の疾患が指定されています。

この記事で紹介したように、難病の重症度分類で治療費が33,330円を超える日が3か月あった場合には、軽度かつ高額の医療費助成の申請が可能ですが、診断だけ受けた状態で、投薬治療などである程度症状が抑えられているときや、日常生活には大きな支障はないものの診断基準になっている検査で所見が認められる状態も本人としては心配の多い時期です。

このような難病の発症・診断の早期や軽度の時に予防的リハビリテーションとしての介入や、疾病の経過を受け入れつつ、今後低下する可能性がある機能を効果的に補っていくことは有意義だとは思いますが、現在の制度では抜け落ちがちになっているように感じます。