ICFとは 国際生活機能分類の図や構成要素、使い方を徹底解説!

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ICFとは(WHOの解釈)

WHOは、ICFのことを、人の生活機能と障害について、「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」の3つの次元、および、関連する「健康状態」、「環境因子」、「個人因子」の各構成要素が双方向的な関連をもつ相互作用モデルであると提唱しています。

ICFの正式名称は「International Classification of Functioning, Disability and Health」で、日本語では「国際生活機能分類」と訳されています。

ICFの概念を図で表すと

ICFの概念を図で表すと以下のようになります。ICFでは矢印の向きが重要で、それぞれの構成要素が相互に影響を与え合っています。

「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」、「健康状態」、「環境因子」、「個人因子」をICFの第1レベルといい、それらの要素をさらに分解していくと第2レベル、詳細分類(第3レベル・第4レベル)となっており、それぞれコードがついています。

ICFの前身の「ICIDH」との違い

ICFの前身である ICIDHは、「障害」に着目し、「〜ができない」「〜が悪い」「〜障害がある」というマイナス面だけに注目していました。

・「機能障害(構造障害を含む)」(Impairment):「心身機能・構造」に問題が生じた状態
・「活動制限」(Activity Limitation) :「活動」に問題が生じた状態
・「参加制約」(Participation Restriction) :「参加」に問題が生じた状態

ICFができた経緯・目的

生活機能障害の分類には、WHOが1980年に発表した「機能障害、能力障害、社会的不利の国際分類(ICIDH)」が用いられてきました。
WHOは2001年5月の第54回総会において、「国際生活機能分類;ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)」を採択し、障害をネガティブな要素としてとらえるだけでなく、その人全体を捉えて細かく分析し、それぞれの特性を踏まえて生活や社会の中での困難を少なくすることを考え、一人一人に合った支援をすることがポイントとなってきてます。

ICFの特徴・メリット・問題点

ICFの目的を一言でいえば、「生きることの全体像を示す共通言語化」です。「病気があるから」という医学的観点からの障害や社会的不利に着目して人を捉えるICIDHモデルから、生きることの全体像を示す「生活機能モデル」を共通の考え方として医学から生活援助、福祉などの立場の人々の間での共通理解・広い視点でその人の生活そのものを把握することに役立つことを目指しています。

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ICFの「生活機能」の構成要素

ICFの「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」の3つを「生活機能」と呼びます。

心身機能・身体構造

ICFの心身機能・身体構造は、身体・精神の機能や構造です。
心身機能とは、手足の動き(感覚、可動域や筋力)、精神の働き、視覚・聴覚、内臓の働き、痛みなどです。
身体構造とは、手足の一部、心臓の一部(弁など)などの、体の部分のことです。

心身機能 第2レベル

  • 第1章  神経系の構造
  • 第2章  感覚機能と痛み
  • 第3章  音声と発話に関わる構造
  • 第4章  心血管系・免疫系・呼吸器系の構造
  • 第5章  消化器系・代謝系・内分泌系の機能
  • 第6章  尿路・性・生殖の機能
  • 第7章  神経筋骨格と運動に関連する機能
  • 第8章  皮膚および関連する構造の機能

身体構造 第2レベル

  • 第1章 神経系の構造
  • 第2章 目・耳および関連部位の構造
  • 第3章 音声と発話に関わる構造
  • 第4章  心血管系・免疫系・呼吸器系の構造
  • 第5章  消化器系・代謝系・内分泌系に関連した構造
  • 第6章  尿路性器系および生殖系に関連した構造
  • 第7章  運動に関連した構造
  • 第8章  皮膚および関連部位の構造

活動(個人・生活レベル)

生活行為、すなわち生活上の目的をもち、一連の動作からなる、具体的な行為のことです。
ICFの活動の概念には、さまざまな生活行為を含むものであり、歩行やその他のADL(日常生活行為)だけでなく、調理・掃除などの家事行為・職業上の行為・余暇活動(趣味やスポーツなど)に必要な行為・趣味・社会生活上必要な行為がすべて活動に分類されます。

参加(社会・人生レベル)

ICFの参加は、家庭や社会に接し、そこで影響を与え合ったり、役割を果たすことです。
広い意味での社会参加だけではなく、主婦として、あるいは親やおじいちゃんおばあちゃんとしての家庭内役割など、働くこと、職場での役割、あるいは趣味にしても趣味の会に参加する、スポーツに参加する、地域組織のなかで役割を果す、文化的・政治的・宗教的などの集まりに参加するなど、ICFの参加には広い範囲で社会や人生においての関わり合いが含まれます。

活動・参加 第2レベル

  • 第1章  学習と知識の応用
  • 第2章  一般的な課題と要求
  • 第3章  コミュニケーション
  • 第4章  運動・移動
  • 第5章  セルフケア
  • 第6章  家庭生活
  • 第7章  対人関係
  • 第8章  主要な生活領域
  • 第9章  コミュニティライフ・社会生活・市民生活

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ICFの健康状態

ICFの健康状態には、病気や怪我などの疾病や体の変調、怪我、妊娠、高齢による老化、認知症、精神面の情緒や気分の起伏、ストレスなど様々なものを含む広い概念となっています。「疾病」だけでなく、私たちが普段から関係するような心身の状態まで含まれています。ICFで表現される健康状態は、WHOの提唱する「健康」の定義とも近しい関係性がありますので、健康とは何かについて以下の記事でご確認ください。

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ICFの背景因子(個人因子・環境因子)

個人因子(Personal Factors)

ICFには、その人の「個性」に近い「個人因子」という概念があり、その人の特徴やその人らしさを構成する、年齢、性別、民族、生活歴(職業歴、学歴、家族歴、等々)、価値観、ライフスタイルなどです。一昔前の医療や福祉の世界では、その人の個性や希望、ライフスタイルを考慮せずに心身機能や活動ができるなればよいと考えらえていましたが、その人らしさや個性が重要視される中で、ICFの考え方でも個人因子を整理・考慮してその人の生活を捉えることが大切です。

環境因子(Environmental Factors)

環境因子は、生活している環境として家の環境や建物・道路・交通・自然環境のような物的な環境を考えがちですが、ICFでは人的な環境(家族、友人、仕事上の仲間など)、態度や社会意識としての環境(社会が生活機能の低下のある人をどうみるか、どう扱うか)、そして制度的な環境(医療、保健、福祉、介護、教育などのサービス・制度・政策)など、ひろく環境を捉えています。

ICFでは、人の生活そのものをとらえますが、環境により人の生活機能は変化します。環境により活動や参加がしやすくなることもありますし、環境により活動や参加が難しくなることもあります。このような相互関係があるので、「生活機能」に対してプラスの影響をしている時は「促進因子(Facilitator)」と呼び、マイナスの影響を与えている時は「阻害因子(Barrier)」と呼びます。

環境因子 第2レベル

  • 第1章  製品と用具
  • 第2章  自然環境と人間がもたらした環境変化
  • 第3章  支援と関係
  • 第4章  態度
  • 第5章  サービス・制度・政策

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ICFで課題整理した介護計画・ケアプランの目標の書き方・記入例

リハビリテーションや看護介護でのアセスメント、障害児や障害者などのおかれた状況から課題の整理など、ICF等で整理して幅広くその人を把握します。その利用者が望む生活を叶えるために必要なことについてその手段や必要な援助を組み入れていくのがケアマネジメントやリハビリテーションの考え方です。

例えば介護分野での介護計画や居宅サービス計画(ケアプラン)などで、ICFで状況整理して課題を抽出の上、生活目標を設定し、その目標を達成するために必要な援助をプランニングしていきますが、どのような目標にしたらよいかの書き方・記入例については以下の記事で紹介しています。

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ICFのコード

ICFは考え方ばかりが注目されていますが、国際生活機能分類であり、構造化された分類なのでICFコードという分類に合わせたコードが存在します。ICFコードの一部は、介護業界で科学的介護の情報収集に利用されています。

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ICFのまとめ

医療や介護の分野では、障害があることでできないから治療する・全部やってあげるという観点で人に接してしまいがちです。

ICFでは、マイナス面ばかりでなく、その人の個性や環境、いまできることややっていることなどを全体的にとらえて、障害があっても「こうすれば出来る」というプラスの視点を持ち、視野を広げて総合的に接していけるようになります。

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