バイタルチェックを行ったら低血圧…。介護・看護・リハビリなどの場面では、よくある状態です。
普段は標準血圧の方が、収縮期血圧100mmHgを下回った時や、普段の血圧より30mmHg以上低下しているときは要注意。
ショック状態は、緊急の処置が必要で、処置が遅れると危険な状態になることも。
このページの目次
ショック状態とは
ショック状態とは、血圧が急激に低下しておきる症候群で、重要な臓器や全身の細胞に必要な血液が供給されない状態です。
心臓から拍出された血液は、全身を巡り、血管に圧がかかっている状態が正常です。ショックの状態では、心臓からの拍出量の減少、末梢血管の拡張、心拍数の減少、出血、血液成分の異常などにより、収縮期血圧低下、脈圧低下、それらに伴い尿量の減少と呼吸不全をともなう状態となります。
このような状態では、脳血管には優先的に血流を流すように血管の収縮が調整されますが、それでも補いきれない状態のときがショック状態であり、失神、虚脱、めまい、意識低下などを生じます。
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ショックの診断基準
ショックの原因により症状や病態が違うために、全てのショックについて対応している診断基準はないですが、バイタルサインとしては、収縮期血圧 90mmHg以下、脈圧 30mmHg以下がショックの診断基準となっています。
血圧などのバイタルサインの正常はこちらの記事で
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ショック症状の所見
ショック症状としては、バイタルサイン上の収縮期血圧90mmHg以下、脈圧30mmHg以下というショックの診断基準となる血圧低下・脈拍低下(徐脈)に加え、めまい、失神、虚脱、ショックになり得る既往歴、皮膚蒼白、不安、不穏状態、冷や汗、頻脈、呼吸の変化、低体温、四肢の冷え、爪の圧迫により爪下の皮膚が蒼白になり再度充血するのに時間がかかる、反射の遅延などが挙げられます。
ショックの症状の「5P」の覚え方(試験対策)
看護師などの国家試験対策としては、ショックの症状を「5P」で覚えます。
- 蒼白:Pallor
- 呼吸不全:Pulmonary insufficiency
- 冷汗:Perspiration
- 虚脱:Prostration
- 脈拍触知不能:Pulse less
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ショックの分類・種類
ショックの分類は、それぞれのショック症状の原因から主に5種類に分けられます。
- 出血性ショック(循環血液減少性ショック)
- 心原性ショック
- 敗血症性ショック(細菌性ショック)
- アナフィラキシーショック(アナフィラキシー反応)
- 神経性ショック
出血性ショック(循環血液減少性ショック)
出血性ショックは、出血などで血液量が減少したことが原因の状態です。
外傷による出血、出血性潰瘍、静脈瘤の破裂、子宮外妊娠の破裂、腹膜炎などで生じることがあります。
出血性ショックの重症度分類
代償性ショック | 10~15%の出血 |
軽度ショック | 20~25%の出血 |
中等度ショック | 30~35%の出血 |
重度ショック | 40~50%の出血 |
心原性ショック
心原性ショックは、心臓の収縮が低下した時に発生します。
心筋梗塞、拡張型心筋症、僧帽弁膜狭窄症、弁閉鎖不全、心タンポナーデなどの状態の他、様々な原因による徐脈や不整脈などの心拍数の異常も原因となります。
以下の記事で、徐脈や不整脈について紹介してます。
血管原性ショック(血管運動失調性ショック)
血管原性ショックでは、末梢血管の拡張により、末梢血管抵抗の減少(末梢に血液が溜まってしまう状態)がおこり、心臓への還流血液量が減少することが血圧低下の主な発生原因とされています。
敗血症性ショック(細菌性ショック)
敗血症性ショック(細菌性ショック)では、肺炎や蜂窩織炎などの感染箇所から、血液中にブドウ球菌・緑膿菌・病原性大腸菌などの病原菌が入り込み、重篤なショック症状を引き起こします。免疫系の反応から血管内皮細胞が障害され、血管の拡張が起こり、脳・肺・四肢など様々な箇所に浮腫を生じます。進行するうちに心拍出量の低下が現れ、心原性ショックと同様に低心拍出な状態となることもあります。
敗血症は治療が遅れると致死率が高くなるため、疑った場合は早期に、高濃度酸素投与、血液培養、抗菌剤の投与、輸液、尿量測定などの処置が行われる必要があります。
アナフィラキシーショック(アナフィラキシー反応)
アナフィラキシーは、アレルギー物質に対する免疫反応が過剰な事が原因で、IgEと他のアナフィラトキシンの反応が関与しています。これらの細胞が、ヒスタミンなどを遊離させて、ヒスタミンなどの作用で血管拡張や気管支痙攣などを引き起こします。アナフィラキシーショックでは、ヒスタミンなどにより末梢血管が拡張して、血管内の血液が体液として組織に漏出した結果、還流血液量が減少してショック状態となります。
神経性ショック
神経性ショックは、脊髄損傷などで自律神経(交感神経)の失調が起き、血管の運動麻痺や末梢血管弛緩による血圧低下が起きた状態です。
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ショック状態での救急処置・対応
血圧低下が見られたとき、ショックを疑う必要があります。
介護、看護、リハビリテーションなどの場面でも、収縮期血圧が100mmHg以下もしくは普段より30mmHg以上低い時には注意深い観察が必要です。
意識が無い場合には、脳血流や肺機能が保てていない可能性が高いため、救急要請し、医師や看護師がいる場合は早く連絡し、気道確保や人工呼吸の判断など緊急の対応が必要となります。
ショック症状がり、低血圧状態のときの原則は脳血流循環を保つことが大切なので、頭部を低くして臥床させます。
血圧測定・バイタルチェック・バイタルサインの記事
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