新型コロナウイルス感染症対応での介護サービス基準等の取扱い(2020年2月版)

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2020年2月は新型コロナウイルス感染症の話題が中心となっており、国としても2020年3月2日から小中高校の臨時休校を要請や、イベントの中止など社会生活にいろいろな影響が出て生きています。要介護者・障がい者などとかかわる介護保険サービス事業者や障害福祉事業などでは、冬の時期はインフルエンザやノロウイルス感染などに注意して対策していますが、新型コロナウイルス感染症にも注意しなければならない状況となってきました。厚生労働省では、「介護事業所等における新型コロナウイルス感染症への対応等について」というサイトで新型コロナウイルス感染症に関する自治体・関係団体向け事務連絡を掲載しています。2020年2月29日までに厚生労働省から発表された、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための介護サービス事業者の休業、人員基準の取り扱い、通所介護や短期入所等の職員や利用者の発熱時(体温37.5度以上)の対応、サービス担当者会議の簡略化などについての方針や事務連絡資料などをまとめました。

通所介護・短期入所等における感染拡大防止のための留意点

デイやショートステイでの対応ポイント
<職員の対応>
・介護事業所で働く職員・ボランティア等も、出勤前に各自体温を測定し、発熱が認められる(37.5度以上)の場合には出勤を行わず、管理者に報告。

・過去に発熱が認められた場合には、解熱後24時間以上経過して、呼吸器症状が改善傾向となるまでは出勤を行わない。
・物品の受け渡し等は玄関の限られた場所で行い、施設内に立ち入る場合には体温測定をしてもらい、発熱ありの場合には立ち入りを断る。
<利用者への対応>
・送迎車に乗車する前に、本人・家族または職員が利用者ご本人の体温を計測し発熱が認められる(37.5度以上)の場合には利用を断る。
・利用者を担当する居宅介護支援事業所または相談支援事業所等に情報提供を行い、居宅介護支援事業所等は、必要に応じ、訪問介護等の提供を検討する。

社会福祉施設等(通所・短期入所等)における感染拡大防止のための留意点

(職員等について)

○ 社会福祉施設等(通所・短期入所等に限る。以下同じ。)の職員については、出勤前に各自で体温を計測し、発熱が認められる(37.5 度以上の発熱をいう。以下同じ。)場合には、出勤を行わないことを徹底する。社会福祉施設等にあっては、該当する職員について、管理者への報告により確実な把握が行われるように努めること。
過去に発熱が認められた場合にあっては、解熱後 24 時間以上が経過し、呼吸器症状が改善傾向となるまでは同様の取扱いとする。なお、このような状況が解消した場合であっても、引き続き当該職員等の健康状態に留意すること。
ここでいう職員とは、利用者に直接サービスを提供する職員だけでなく、事務職や送迎を行う職員等、当該事業所の全ての職員やボランティア等を含むものとする。
委託業者等についても、物品の受け渡し等は玄関など施設の限られた場所で行うことが望ましく、施設内に立ち入る場合については、体温を計測してもらい、発熱が認められる場合には立ち入りを断ること。

○ 該当する職員については、「「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」を踏まえた対応について」(令和2年2月 17 日厚生労働省子ども家庭局総務課少子化総合対策室ほか連名事務連絡)を踏まえ、適切な相談及び受診を行うこととする。

○ なお、新型コロナウイルス感染症への対応等により一時的に人員基準を満たすことができなくなる場合等については、「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」(令和2年2月 17 日厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室ほか連名事務連絡)等により柔軟な取扱いが可能とされているので、同事務連絡を参照されたい。

(利用者について)
○ 社会福祉施設等の送迎に当たっては、送迎車に乗車する前に、本人・家族又は職員が本人の体温を計測し、発熱が認められる場合には、利用を断る取扱いとする。
過去に発熱が認められた場合にあっては、解熱後24時間以上が経過し、呼吸器症状が改善傾向となるまでは同様の取扱いとする。なお、このような状況が解消した場合であっても、引き続き当該利用者の健康状態に留意すること。

○ 発熱により利用を断った利用者については、社会福祉施設等から当該利用者を担当する居宅介護支援事業所又は相談支援事業所等(以下「居宅介護支援
事業所等」という。)に情報提供を行い、当該居宅介護支援事業所等は、必要に応じ、訪問介護等の提供を検討する。
訪問介護等の提供等を行う場合には、別紙2を踏まえた対応を徹底すること。
○ 市区町村や社会福祉施設等においては、都道府県や衛生主管部局、地域の保健所と十分に連携の上、必要となる代替サービスの確保・調整等、利用者支援の観点で居宅介護支援事業所等や社会福祉施設等において必要な対応がとられるように努めるものとする。

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新型コロナウイルス感染者が発生した場合の対応

介護施設の運営基準を管轄している都道府県などの地方自治体や、感染症の対策を取りまとめている保健所等と情報交換して指導を仰ぎながら対応する必要があります。詳しくは「社会福祉施設等の利用者等に新型コロナウイルス感染症が発生した場合等の対応について(厚生労働省 事務連絡, 令和2年2月18日) 」をご参照下さい。また、要点は以下の記事でも紹介しています。

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都道府県等からの休業の要請を受けて休業している場合における取扱い

令和2年2月24日に厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室が、各都道府県・中核都市宛てに出した事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第2報)」から抜粋します。

都道府県等からの休業の要請を受けて休業している場合における取扱いについて

1. 休業となった事業所と異なる事業所、公民館等の場所を使用して、当該事業所が指定を受けたサービスに相当するサービスを提供した場合

算定方法
通常提供しているサービス費と同様に、サービス提供時間等に応じ介護報酬を算定すること

2. 居宅で生活している利用者に対して、利用者からの連絡を受ける体制を整えた上で、居宅を訪問し、個別サービス計画の内容を踏まえ、できる限りのサービスを提供した場合

算定方法(通所系サービスの場合)
提供したサービス時間の区分に対応した報酬区分(通所系サービスの報酬区分)を算定する。
ただし、サービス提供時間が短時間(通所介護であれば2時間未満、通所リハであれば1時間未満)の場合は、それぞれのサービスの最短時間の報酬区分(通所介護であれば2時間以上3時間未満、通所リハであれば1時間以上2時間未満の報酬区分)で算定する。
なお、当該利用者に通常提供しているサービスに対応し、1日に複数回の訪問を行い、サービスを提供する場合には、それぞれのサービス提供時間に応じた報酬区分を算定できるものとするが、1日に算定できる報酬は居宅サービス計画書に位置付けられた提供時間に相当する報酬を上限とし、その場合は、居宅介護サービス計画書に位置付けられた提供時間に対応した報酬区分で算定する。

※ なお、居宅サービス計画書に基づいて通常提供しているサービスが提供されていた場合に算定できていた加算・減算については、引き続き、加算・減算を行うものとする。ただし、その他新型コロナウイルス感染症の患者等への対応等により、一時的に算定基準を満たすことができなくなる場合等については、「令和元年台風第19号に伴う災害における介護報酬等の取扱いについて」における取扱いに準じることに留意されたい

この考え方は、令和元年台風第19号に伴う災害における介護報酬等の取扱いについてをベースに作られており、感染症の蔓延防止のために事業を停止しているのに公民館で実施するなどということは現実的は難しいものであると考えられます。

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新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱い

令和2年2月27日に厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室が、各都道府県・中核都市宛てに出した事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第3報)」から抜粋します。

問1 新型コロナウイルス感染症に伴い学校が休校等になることにより、一時的に人員基準等を満たせなくなる場合、介護報酬の減額を行わない等の柔軟な取扱いは可能か。
可能である。(第3報 令和2年2月28日)
問4 介護予防通所リハビリテーション事業所が月途中で休業し、その後介護予防通所リハビリテーションのサービス提供が中断された場合の算定はどうするか。
介護予防通所リハビリテーションの月額報酬を日割りで、計算して算定する。(第3報 令和2年2月28日)
問9 居宅介護支援のサービス担当者会議について、どのような取扱いが可能か。
感染拡大防止の観点から、やむを得ない理由がある場合については、利用者の自宅以外での開催や電話・メールなどを活用するなどにより、柔軟に対応することが可能である。
なお、利用者の状態に大きな変化が見られない等、居宅サービス計画の変更内容が軽微であると認められる場合はサービス担当者会議の開催は不要である。(第3報 令和2年2月28日)

新型コロナウイルス感染症感染防止のためにサービス担当者会議開催も柔軟に

サービス担当者会議はご利用者の自宅などに様々な介護サービス事業者が集まり、対面の上行われることが通例となっています。

しかし、感染拡大防止の観点「やむを得ない理由がある場合、利用者の自宅以外での開催や電話・メールの活用など柔軟に対応することが可能」と事務連絡に記載されました。また、「利用者の状態に大きな変化が見られないなど、居宅サービス計画書(ケアプラン)の変更内容が軽微であると認められる場合は、サービス担当者会議の開催は不要」と明記され、自治体にも柔軟な対応を呼びかけています。

通常のサービス担当者会議やケアプランの軽微な変更の判断については、こちらの記事で紹介しています。

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介護施設側での感染対策としては、スタンダードプリコーション

感染標準予防策・スタンダードプリコーションとは

標準予防策(スタンダード・プリコーション)は、全ての人に対して行われる基本的な感染対策のことで、血液、体液、傷口、粘液、喀痰、排泄物(尿、糞便、吐物等)、膿、胸水・腹水などによる接触を感染の対象とし、すべての人・物が感染している可能性があるという前提で対応することです。

スタンダードプリコーションは、病原体を排出する感染源がおり、体力や免疫が落ちている方が多い中を接触しなければならない医療機関や介護施設で取り組まれている感染症の予防策です。具体的には、個人防護具(ガウンやマスク等)の適切な着用、咳エチケット、環境整備などが行われますが、なかでも最も感染の防止に役立ち必須であるのは手指衛生(手指消毒)です。
手指衛生で大事なのは「適切なタイミング」に「適切な方法」で行うことが奨励されています。

感染症が成立するための三大要因

感染症が成立するためには、感染源感染経路感受性の三つ要因が必要と言われ、感染症成立の三大要因と呼ばれます。

  1. 病原体を排出する「感染源
  2. 病原体が宿主(人や動物など)に伝播(伝わり、広まる)される「感染経路
  3. 病原体の伝播を受けた宿主に病原体に対する「感受性」があること

感染症と潜伏期間

ウイルスや細菌などの病原体が宿主(人や動物など)の体内に侵入し、発育や増殖することを「感染」といいます。

感染の結果、何らかの臨床症状が現れた状態を「感染症」といいます。

病原体が体内に侵入してから症状が現れるまでには一定の期間があり、これを「潜伏期間」といいます。潜伏期間は病原体によって異なります。

感染症が発生するためには、病原体を排出す「感染源」、その病原体が宿主に伝播(伝わり、広まる)される「感染経路」、そして病原体の伝播を受けた「宿主に感受性が存在する(予防するための免疫が弱く、感染した場合に発症する)」ことが必要です。「感染源」、「感染経路」及び「感受性が存在する宿主」の3つを感染症成立のための三大要因といいます。詳しくはこちらから。

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感染症対策としてできることについてこちらにまとめました

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