男女共同参画推進関係予算は9兆円は削減可能?費用内訳の詳細

 

「男女共同参画推進関係予算は9兆円は削減可能?」「10兆円無駄」という疑問が浮上しています。この巨額の予算について、実際にどのような費用内訳が存在するのか、そしてその中で削減が可能な部分はどれくらいあるのか。本記事では、男女共同参画推進関係予算の詳細な内訳を深堀りし、その実態を明らかにします。予算の適切な使い道や、必要な部分とそうでない部分の議論を通じて、真実に迫ります。男女共同参画推進関係予算額の内訳をみると、「これも男女共同参画推進関係予算に含まれていたのか」という発見があるかと思います。

男女共同参画社会とは

男女共同参画社会の概念を語る上で重要となる定義についてですが、内閣府男女共同参画局では、男女共同参画社会基本法の第2条を用いて以下のように述べています。

男女共同参画社会とは、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」です。(男女共同参画社会基本法第2条)

男女共同参画社会を実現する5本の柱

男女共同参画社会を実現する5本の柱

「男女共同参画社会」って何だろう? 内閣府男女共同参画局

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男女共同参画社会基本法とは

男女共同参画社会の実現に向けて実際に法律にしたものが「男女共同参画社会基本法」です。この法律は、男女が平等に社会に参加し、その利益を享受することを目指すという内容で1992年にできたものです。男女の人権を尊重し、社会経済の変化に対応した活力ある社会を形成するため、男女共同参画社会の基本理念と施策を定め、その推進を目指すという内容になっています。男女共同参画社会基本法や男女共同参画社会の内容についての詳細は以下の記事で取り上げています。

男女共同参画社会基本法に沿った内容に関する政策で組まれた予算を、男女共同参画推進関係予算という括りで呼んでおり、この「男女共同参画推進関係予算」という分類は造語みたいなものです。

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男女共同参画推進関係予算額 9兆円の内訳についての答弁議事録(2004年)

少し古い資料にはなりますが、一般公開されているものとして「男女共同参画推進関係予算 9兆円」についてわかりやすくせつめいされたものがありましたので、平成16年(2004年)1月28日(水)に総理大臣官邸4階大会議室で行われた男女共同参画会議(第13回)議事録を引用します。2003年頃から「男女共同参画推進関係予算額の約9兆円は多すぎではないか?」「内容が不透明だ!」「削減しろ!」と言われてきていた歴史がわかります。

以下、男女共同参画会議(第13回)議事録 開催日時:平成16年1月28日(水)17:20~18:05 場所:総理大臣官邸4階大会議室の引用です。

福田 康夫 内閣官房長官
それでは、ただいまから第13回男女共同参画会議を開催いたします。本日は、総理が後ほど参ります。
それでは、早速議事に入らせていただきます。初めに、「平成16年度男女共同参画推進関係予算の政府案について」でございますが、本件は政府案として固まった男女共同参 画推進関係予算について御報告を申し上げるとともに、前回の会議での議論を踏まえ、この予算が男女共同参画基本計画のどの部分に該当するのか、御説明するものでございます。

事務局
それでは、事務局から説明をいたします。
それでは、御説明いたします。
本資料は、前回の参画会議の場で各府省が男女共同参画推進関係予算に計上している各事業が、男女共同参画基本計画のどの部分に該当するのか、わかりやすく整理する よう御指示をいただきましたことを踏まえ、事務局において作成したものでございます。資料は、資料1-1の総括表と、資料1-2の横長になっております分野別内訳表の2種類 がございます。このうち、資料1-2の分野別内訳表をご覧いただきますと、基本計画の11の重点目標中の施策の基本的方向の項目ごとに各府省が行っている施策、事業の名 称、15年度当初予算額及び16年度予算政府案における予算額及び対前年度比較増減額表等が御確認いただけます。今回は時間の関係もございますので、分野別内訳表は後 ほどお時間がありましたらご覧いただくこととさせていただきまして、総括表を元に平成16年度男女共同参画推進関係予算の政府案の全体像を御説明させていただきます。
それでは、お手数様ですが、資料1-1の総括表の3ページをお開きください。

男女共同参画推進関係予算は、総額約9兆円と言われることがございます。今回、先ほどご覧いただいた分野別内訳表を作成し、施策・事業ごとに丁寧に予算額を積み上げましたところ、一番下の総合計欄にございますよう、15年度予算額が、一般会計分で約2兆6,250億円、 特別会計分で6兆8,630億円、財政投融資分で約27億円の合計9兆4,910億円であったのに対しまして、16年度政府案では一般会計額が約1,230億円増額の約2兆7,480億円、 特別会計分が約3,120億円増額の約7兆1,750億円、財政投融資分が約25億円減額の約2億円で、合計で約4,320億円増額の9兆9,220億円となっております。
次に、その内訳を御説明いたします。お手数様ですが、1枚戻っていただいて2ページをご覧ください。上から2つ目に重点目標6というものがございます。「6 高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」の平成16年度予算案の欄をごらんいただきますと、先ほどの9兆9千億円のうち8兆3千億円がここで占められているということがわかります。更にその 内訳を申し上げますと、[(1)高齢者が安心して暮らせる介護体制の構築」中の介護保険の国庫負担分が約1兆7,920億円、「(2)高齢期の所得保障」中の国民年金及び厚生年金保険の国庫負担分が約5兆8,250億円で太宗を占めています。それぞれ約2千億円、対前年度で増額となっておりますが、いずれも高齢化の進展に伴う対象者数の増加による 自然増であると聞いております。
続きまして、2番目に予算額の多い重点目標は、2ページ目の一番上の「5 男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」です。16年度政府予算案では、一般会計と特別会計を合わせて約1兆4千億円となっております。その内訳は、一般会計では「(1)多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実」中の保育所運営費の約2,670億円、母子家庭等対策費の約3,100億円が太宗を占めており、対前年度比約1,100億円の減額の要因も、三位一体の改革における公立保育所運営費などの国庫補助金の一般財源化に伴う保育所運営費の約1,560億円の減額と、母子家庭等対策費の約410億円の増額によるものがほとんどです。
また、特別会計では「(1)多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実」中の出産育児一時金等の給付の約1,240億円、児童手当の給付の約4,070億円、「(2)仕事と 育児・介護の両立のための雇用環境の整備」中の育児休業給付の約1,040億円、介護休業給付の約210億円が太宗を占めております。対前年度約1,200億円の増額の要因も、 配偶者特別控除廃止に伴う家計の負担増に配慮した少子化対策の拡充のための児童手当の給付拡大による約1,000億円の増額、育児休業給付の約260億円の増額によるもの がほとんどで、昨年1年の本男女共同参画会議に影響調査専門調査会から報告がございました「ライフスタイルの選択と税制・社会保障制度、雇用システム」の趣旨に沿った予算編成をしていただいたものと考えられます。

男女共同参画会議(第13回)議事録 開催日時:平成16年1月28日(水)17:20~18:05 場所:総理大臣官邸4階大会議室

 

上記は2004年の議事録になりますが、男女共同参画推進関係予算額はおよそ現在も軸としては同じようなものとなっています。以下の章では令和5年度(2023年度)の男女共同参画に関する予算の内訳と予算額の要点をわかりやすくまとめていきます。

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男女共同参画に関する予算の内訳 令和5年度(2023年度)

男女共同参画局では、「令和5年度(2023年度)男女共同参画基本計画関係予算②(男女共同参画社会の形成に効果を及ぼす施策・事業)」を公表しています。この表は細かな項目で令和4年度との比較などができるようになっていますが、単位がわかりにくいので概略化して掲載します。各項目の予算が内閣官房、法務省、総務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、こども家庭庁、警察庁、環境省にそれぞれ割り振られており、各省庁が具体的な事業や施策を企画・運営・委託等をするという形をとっています。

(以下の表は、男女共同参画局の「令和5年度(2023年度)男女共同参画基本計画関係予算②(男女共同参画社会の形成に効果を及ぼす施策・事業)」を改変して作成しています。詳細は上記リンクから元のPDFファイルをご確認ください。)

Ⅰ あらゆる分野における女性の参画拡大

第1分野 政策・方針決定過程への女性の参画拡大 約 1765万円
第2分野 雇用等における男女共同参画の推進と仕事と生活の調和 約 1368億円
第3分野 地域における男女共同参画の推進 約 2300万円
第4分野 科学技術・学術における男女共同参画の推進 約 58億円

Ⅱ 安全・安心な暮らしの実現

第5分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶 約 1409億円
第6分野 男女共同参画の視点に立った貧困等生活上の困難に対する支援と多様性を尊重する環境の整備

1 貧困等生活上の困難に直面する女性等への支援

2 高齢者、障害者、外国人等が安心して暮らせる環境の整備

約 7兆円
第7分野 生涯を通じた健康支援 約 422億万円
第8分野 防災・復興、環境問題における男女共同参画の推進

Ⅲ 男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備

第9分野 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備 約 2兆8800億円
第10分野 教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革、理解の促進 約 4億円
第11分野 男女共同参画に関する国際的な協調及び貢献 約 38億円

男女共同参画に関する予算の内訳 令和5年度(2023年度)の合計額

男女共同参画に関する予算の内訳 令和5年度(2023年度)の合計額は、上記のような内訳で約10兆円です。

資料には、「介護給付費国庫負担金等」「良質な障害福祉サービスの確保」「児童手当制度(国庫負担分)」「子どものための教育・保育給付等(国庫負担分)」を除いた金額としては、2兆7746億円として参考額が示されています。

10兆円のうちの7兆円ほどは介護保険、障害福祉サービス、児童手当、教育保育給付等の事業に使われているということです。

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まとめ

「男女共同参画推進関係予算9兆円」や「男女共同参画推進関係予算10兆円」と言われますが、中身には年金支援や育児、介護などで、実際に多くの人が享受している社会保障も含まれていますので、「全部防衛費に使ってください!」や「無駄な9兆は削ってください!」という意見は少し乱暴かと思います。

SNSや新聞・取材をしているであろうメディアでも、ファクトが怪しい情報が出回りやすい状態です。見出しで印象操作・世論操作することも多いので、たまに疑いの目を持って実際どうなのかと振り返っていけたらと思います。

男女共同参画推進関係予算の内訳や事業概要を見てみると、意外と削減できる部分は少ないと感じました。

ただし、各省庁が行う施策レベルでは、目的・予算・内容・その施策の効果がトンチンカンなことをやっている感満載で行っていたり、癒着が疑われるような企業や団体に委託・発注していたりすることもあるので、これらを具体的に監視・指摘していくことが必要に思います。

 

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