精神科の医療保護入院と措置入院とは?制度上強制入院はできる?

精神疾患の治療には、本人の意思に基づいた入院が理想ですが、症状が重く自傷や他害の恐れがある場合には、やむを得ず強制的な入院措置が取られることがあります。日本の法律では、本人の同意がなくても入院が可能な制度として「医療保護入院」と「措置入院」が定められています。これらの制度はどのような条件で適用されるのか、費用や退院条件、家族の役割など、気になるポイントを詳しく解説します。精神科医療への理解を深め、適切な支援のあり方を考えるための参考にしてください。

精神科で強制入院はできる?その条件とは

日本の精神保健福祉法に基づき、一定の条件を満たす場合には、本人の同意がなくても入院させることができます。これを「強制入院」と呼ぶことがありますが、正式には以下の2つの制度に分類されます。

医療保護入院家族等の同意と医師の判断で行う入院
措置入院行政の判断で行う入院

いずれも、本人の精神状態が深刻で、自傷他害の恐れがある場合に限られます。

精神保健福祉法に基づく入院に関する各種様式

医療保護入院や措置入院については、患者・障害者の権利を制限するものであるため、法律に基づく手続きにのっとり実施されるものになります。実際に医療保護入院や措置入院を行う場合には、一例として、厚生労働省が公表しているような診断書や同意書を作成して審査を行うことなどが定められています。

厚生労働省 精神保健福祉法に基づく入院に関する各種様式

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医療保護入院とは

医療保護入院は、本人の同意が得られない場合でも、家族などの同意と医師の診断に基づいて行われる入院制度です。

医療保護入院はどんな場合に対象になる?

  • 精神疾患により 入院治療が必要 であること
  • 本人に 入院の同意能力がない、または 同意を拒否 している場合
  • 家族等の同意(保護者、配偶者、親、子など)と 精神保健指定医の診断 に基づく

医療保護入院の同意者

医療保護入院に関する家族等同意書
  • 原則として 家族等の保護者 の同意が必要
  • 保護者がいない場合、都道府県知事の同意で入院可能
  • 2020年の法改正で、家族等の意向が尊重される一方、本人の意思も重視されるようになりました

医療保護入院の入院手続きと退院条件

医
療
保
護
入
院
の
流
れ
(
第
3
3
条
)
  1. 精神保健指定医による診察
  2. 家族等の同意取得
  3. 入院措置の決定と実施、入院予定期間を記載した入院診療計画を提出
  4. 退院条件
    • 症状が改善し、入院の必要がなくなった場合
    • 家族等の同意が撤回された場合
    • 定期的な審査や医療審査会の判断による退院命令

医療保護入院を本人が拒否した場合

本人が拒否しても、法律上の手続きを経て入院が可能です。ただし、入院中でも 本人の権利を尊重 するための審査や相談体制が設けられています。

医療保護入院の費用

  • 医療費の自己負担 は一般的な保険診療と同様
  • 低所得者向けの 公費負担制度 もあり
  • 自治体によっては費用支援がある場合も

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措置入院とは

措置入院は、精神障害者による 自傷他害の恐れが著しい場合 に、行政(都道府県知事)の判断で行われる入院措置です。

措置入院の対象はどんな人

措置入院に関する診断書

精神保健福祉法に基づく入院に関する各種様式の一つである「措置入院に関する診断書」では、殺人、放火、強盗、不同意性交等、不同意わいせつ、傷害、暴行、脅迫、恐喝、窃盗、器物損壊、弄火又は失火、家宅侵入、詐欺等の経済的な問題行動、自殺企図、自傷などが重大な問題行動(今後おそれある問題行動)として挙げられています。

  • 重大な自傷行為や他害行為 を行う恐れがある人
  • 精神保健指定医 による診断が必要
  • 本人の同意は不要

措置入院の入院手続きと退院条件

措置入院の流れ(第29条)
  1. 家族や警察、医療機関からの通報
  2. 指定医による診察結果を基に知事が判断
  3. 措置入院の決定
  4. 退院条件
    • 自傷他害の恐れが解消された場合
    • 定期的な審査で退院可能と判断された場合

措置入院を本人が拒否した場合

措置入院は 本人の拒否にかかわらず 強制的に行われます。警察の協力を得て入院措置を実施することもあります。

措置入院の費用

  • 公費負担 が原則
  • 本人や家族の負担は基本的にありません
  • 自治体ごとに異なるため、詳細は自治体窓口へ確認

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医療保護入院と措置入院の違い比較表

項目医療保護入院措置入院
入院の目的治療の必要性社会的な安全確保
入院の決定権者精神保健指定医 + 家族等の同意都道府県知事
同意が必要な人家族等の同意者不要(指定医2名の診断で決定)
入院の条件入院治療が必要で本人の同意が得られない自傷他害の恐れが著しい場合
費用負担健康保険適用、公費負担あり原則として公費負担

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医療保護入院と措置入院のメリットデメリット

医療保護入院のメリット・デメリット

メリット

  • 家族の意向が反映されやすい
  • 柔軟な治療方針が可能

デメリット

  • 家族間のトラブルが生じることがある
  • 家族に負担がかかる場合がある

    措置入院のメリット・デメリット

    メリット

    • 社会的な危険から迅速に保護できる
    • 家族の同意が不要なため迅速な対応が可能

    デメリット

    • 本人の意思が尊重されにくい
    • 精神的な負担が大きくなる場合がある

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      まとめ

      医療保護入院と措置入院は、精神疾患を持つ人の治療と社会的な安全確保を目的とした制度です。どちらも強制的な側面を持つため、法律に基づいた厳格な手続きが求められます。入院に際しては、本人の権利を尊重し、適切な支援と治療が提供されることが重要です。

      精神疾患でお困りの方やご家族は、早めに医療機関や相談窓口に相談することをお勧めします。

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