8050問題とは 80歳代の親と50歳代の子の長期引きこもり同居

 

8050問題とは

8050問題とは、引きこもりの若者がそのまま中年になっても親の支えで生活を続けているうちに親も高齢となり、収入や介護などで親子ともに生活が困難になることが多く、社会問題としてとらえるために大阪府豊中市社会福祉協議会所属のコミュニティ・ソーシャルワーカー勝部麗子さんにより提唱されました。80代の親と50代の子の親子関係での問題が深刻化してくることから、8050問題(はちまるごーまるもんだい)と呼ばれます。中高年の引きこもりは60万人以上とも言われ、今後さらに問題が顕在化してくる可能性が高いことから、早期発見、対策や支援方法が検討されています。

8050問題の原因

8050問題の原因となるのは、まず「引きこもり」の問題です。引きこもりの問題は、1980年代ごろから学校や職場でのいじめ問題などとともに社会で注目されるようになりました。引きこもりの状態は、家族以外とほとんど交流がなく、社会から孤立してしまっており、専門的支援なしに復帰するのはとても難しいものです。

引きこもりの状態になる原因には、発達障害や精神障害などが隠れていることもあります。発達障害や精神疾患を医療機関等で治療したり、専門的な支援など受けて社会復帰に向けて進めることもなかなか難しいものです。親も引きこもりの状態を軽視してしまったり、治療の機会を逃すと引きこもりが長期化して40代、50代になっても仕事やパートナーを持つこともなく、引きこもりのままになってしまうことに8050問題の原因があります。親はもう80代。老化が進み、収入もなく、介護が必要な状態となっています。そのほかにも、家族や本人の病気、親の介護、離職やリストラ、経済的困窮、人間関係の孤立など、複合的課題を抱えていることも多いです。

介護が必要な80代の親、引きこもりのまま長い年月経ってしまった50代の子、親子ともに孤立した状態になっており生活を継続することが難しくなるのが8050問題です。

8050問題の解決や対策が難しい理由

2000年ごろから、パラサイトシングル(親と同居する未婚の子ども)という言葉が流行し、メディアなどでもよく取り上げられました。当時のパラサイトシングルという言葉は、親と生活をすることで経済的にも不自由なく生活できるという意味合いでとらえられていることもありましたが、その多くは親世代と比較して経済的にも厳しい状態であり、同居せざる得なかったという層も多かったということが明らかになってきています。そのころは30代~40代でも未婚で実家で生活していたのですが、いろいろな家族や本人の病気、離職やリストラ、ストレスや鬱など、いろいろなきっかけで引きこもりがちになっても「一時的なもの」と考えてしまうことが多く、長期化することでどうなるかはなかなか考えられないですよね。8050問題の解決が難しいのはこの点で、引きこもりを始めたころは1名養っている状態でもなんとかなっていましたが、親が高齢になると生活が困難になり共倒れになる可能性が高いのです。中年になっても引きこもりということに負い目を感じて、公的な機関や近所の住民などに相談できないケースも多々あり、セーフティネットの介入が届かないことも8050問題の解決の難しさだと感じます。

引きこもりの状態は、親子ともに高齢になるにしたがってじわじわと深刻さが増していきます。生活困窮者窓口や保健所、地域包括支援センター、民生委員、就労支援機関、教育機関、家族会などの民間資源との連携を密にし、早期発見、早期対応に繋げる横のつながりが解決や対策への糸口にはなるかと思います。

8050問題のモデル事例

2017年度の社会福祉推進事業「潜在化する社会的孤立問題(長期化したひきこもり・ニート等)へのフォーマル・インフォーマル支援を通した『発見・介入・見守り』に関する調
査・研究事業」では、(1)社会的孤立問題(期化したひきこもり・ニート等)について、(2)フォーマルな支援とインフォーマルな支援の連携によって、(3)発見・介入・見守りを行うモデルの構築を行っておりました。地域包括支援センターが関係しているモデル事例が、『~地域包括支援センターにおける「8050」事例への対応に関する調査~ 報告書 (特定非営利活動法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会 2019年3月)』に掲載されておりました。実際の8050問題に関連する個別事例およびその支援内容や対策についてはこちらの報告書は参考になりそうです。

  • ⼊院中の⺟からの⽀援要請で地域包括が訪問した事例(51ページから)
  • 要介護状態の両親と、依存的な本⼈への包括的⽀援の事例(54ページから)
  • ⺟への暴⼒を機に警察が介⼊、⼀⼈暮らしとなった本⼈の⽀援を行った事例(57ページから)
  • ⺟への暴⼒をきっかけに警察介⼊。⺟⼦分離で⾃⽴を図る事例(59ページから)
  • ケース会議で本⼈との接点を模索、⾷糧⽀援から関係構築を行った事例(61ページから)

引用: ~地域包括支援センターにおける「8050」事例への対応に関する調査~ 報告書 (特定非営利活動法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会 2019年3月)

8050問題 厚生労働省社会福祉事業 参考資料

厚生労働省平成30年生活困窮者就労準備支援事業費等補助金 社会福祉推進事業
長期高齢化する社会的孤立者(引きこもり者)への対応と予防のための「ひきこもり地域支援体制を促進する家族支援」の在り方に関する研究
~地域包括支援センターにおける「8050」事例への対応に関する調査~ 報告書 (特定非営利活動法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会 2019年3月)

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