生活保護制度の4つの原理原則と扶助給付の種類 受給者数の推移

 

生活保護制度は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利という理念に基づき、生活に困窮した人を保護しています。平成29年の時点で約164万の受給世帯数、210万人以上の受給者となっており、高齢者世帯の増加に伴い、高齢者世帯では受給世帯が増加の推移をしており、その他世代では減少傾向の推移をしています。

この記事では、生活保護制度の目的や基本の原理、原則を確認し、どのような扶助・給付・支給があるのかを紹介します。

生活保護制度の目的

生活保護は、日本国憲法第25条で「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定められている理念に基づき、生活保護法では国家が生活に困窮した方にも基本的人権を保護して最低限度の生活を保障することとともに、その人が自分の力で自立して生活していけるよう援助することとしています。

日本国憲法 第25条
第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

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生活保護の4つの基本原理

生活保護法には、国民が等しく理解し、遵守しなければならない生活保護制度の原理が明記されています。

国家責任による最低生活保障の原理

生活保護法は、日本国憲法第 25 条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とします。

保護請求権無差別平等の原理

性別、社会的身分等はもとより、生活困窮におちいった原因を一切問わずすべての人が、法律で定める要件を満たす限り、生活に困窮しているかどうかという経済状態だけに着目して法による保護を無差別平等に受けることができます。

健康で文化的な最低生活保障の原理

憲法で定められた、健康で文化的な生活水準を維持することができる、最低限度の生活が保障されます。

保護の補足性の原理

生活保護制度では、資産、能力、その他あらゆるものを活用し、それでも最低限度の生活が維持できない場合、その不足分を補います。

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生活保護実施上の4つの原則

申請保護の原則

生活保護は、要保護者、その扶養義務者またはその他の同居の親族の申請に基づいて開始されます。ただし、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うこともあります。

基準及び程度の原則

生活保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭または物品で満たすことができない不足分を補う程度において行います。その基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつ、これを超えないものでなければならないとしています。

必要即応の原則

生活保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人または世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効かつ適切に行います。

世帯単位の原則

生活保護は、世帯を単位として、必要かどうかの判断や、保護の程度の決定を基本とします。

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生活保護制度の扶助・給付支給の種類

生活保護制度では、それぞれ最低生活を充足するに必要とされる限度において具体的な支給範囲が定められています。保護の方法としては、金銭給付と現物給付があり、生活、教育、住宅、出産、生業及び葬祭の各扶助は金銭給付を原則としていますが、医療扶助及び介護扶助については、給付の性質上若干の例を除いて現物給付を原則としています。

生活保護の金銭給付

生活扶助

生活保護の生活扶助には、生活を営む上で生じる費用の中で日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)が該当します。

基準額は、食費等の個人的費用、光熱水費等の世帯共通費用を合算して算出。特定の世帯には加算があります。(母子加算等)

教育扶助

生活保護の教育扶助には、義務教育を受けるために必要な学用品費が該当します。支給内容は定められた基準額の実費を支給となります。

住宅扶助

生活保護の住宅扶助には、アパート等の家賃などが該当します。支給内容は定められた範囲内で実費を支給となります。

出産扶助

生活保護の出産扶助には、出産費用が該当します。支給内容は定められた範囲内で実費を支給となります。支給内容は定められた範囲内で実費を支給となります。

生業扶助

生活保護の生業扶助には、就労に必要な技能の修得等にかかる費用が該当します。

葬祭扶助

生活保護の葬祭扶助には、葬祭費用が該当します。支給内容は定められた範囲内で実費を支給となります。

生活保護の現物給付は医療費・介護費

医療扶助

生活保護の医療扶助は、医療サービスの費用が該当し、現物給付なので費用は直接医療機関へ支払いされ、医療機関の窓口での自己負担はありません。

介護扶助

生活保護の介護扶助は、介護サービスの費用が該当し、現物給付なので費用は直接介護事業者へ支払いされ、自己負担はありません。

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生活保護の手続きの流れ

生活保護の事前の相談

生活保護制度の利用を希望する方は、お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当で。生活保護制度の説明し、生活福祉資金、各種社会保障施策等の活用について検討します。

生活保護の申請

生活保護の申請をされた方については、保護の決定のために以下のような調査を実施します。

  • 生活状況等を把握するための実地調査(家庭訪問等)
  • 預貯金、保険、不動産等の資産調査
  • 扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査
  • 年金等の社会保障給付、就労収入等の調査
  • 就労の可能性の調査

生活保護費の支給

  • 厚生労働大臣が定める基準に基づく最低生活費から収入(年金や就労収入等)を引いた額を保護費として毎月支給します。
  • 生活保護の受給中は、収入の状況を毎月申告していただきます。
  • 世帯の実態に応じて、福祉事務所のケースワーカーが年数回の訪問調査を行います。
  • 就労の可能性のある方については、就労に向けた助言や指導を行います。

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生活保護制度の受給世帯数・受給者数の推移

生活保護制度は、生活、医療・介護、住宅、教育、就労といった人間の生活全般を支え、国民の最低限度の生活を保障する最後のセーフティネットとしての役割を果たしています。必要な人には確実に保護を実施するという基本的な考え方を維持しつつ、今後とも生活保護制度が国民の信頼に応えられるよう、就労による自立の促進、不正受給対策の強化、医療扶助の適正化等を検討し見直しが行われています。

生活保護受給者数は平成29年2月現在で214万1881人となっています。生活保護受給世帯数は約164万世帯で、高齢者世帯の増加により、世帯全体は増加で推移していますが、高齢者世帯以外の世帯については減少傾向で推移が続いています。詳しくは、以下の資料引用リンクの厚生労働省社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会の資料をご確認ください。

生活保護制度の受給世帯数・受給者数の推移

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