2016年4月から介護施設の行政監査は事前通告無しも可に。厚生労働省は実地指導等のガイドラインを見直し。
昨年から、介護施設において虐待の話題が続いています。介護施設と言うと虐待というイメージすら付きそうなくらい連日メディアで賑わいましたが、実際の介護の現場ではいろいろな問題が起きています。
虐待や介護施設の不正などを監査するために、介護保険施設には「実地指導」と「監査」があります。
これらは、その施設を管轄する地方自治体の職員が、一定期間前に訪問することを伝えて準備させてから当該施設に出向いて書類を中心に調査して適正なサービス提供ができているかチェックするものでした。
2016年3月、厚生労働省は相次ぐ虐待への措置として、監査や実地指導を事前通告無しで抜き打ち訪問することをガイドラインに示したとされています。(実際にガイドラインを見直したソースが見つかりません。ご存知の方、お問い合わせかfacebookから教えてください。)
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平成28年4月より介護施設への実地指導・監査、事前通告なく行うことも
介護施設、通告なく指導 虐待早期発見へ、厚労省
産経ニュース 2016.3.8 12:34
厚生労働省は増加する高齢者虐待を早期に発見するため、自治体が事前通告なく事業所を実地指導できるようガイドラインを見直すことを決めた。川崎市の介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で入所者の男女3人が転落死した事件などを受けた措置で、4月から運用する。
施設で高齢者虐待が疑われる場合、介護保険法に基づき監査や実地指導が行われる。利用者などからの通報や苦情に基づく監査は事前通告の必要はなく、抜き打ちで実施できる。だが、日常的な虐待防止への対応を調べる実地指導は事前に文書で日時や場所、目的を知らせる方が望ましいとされていた。
実地指導の場合、施設で身体拘束などの虐待があった場合、証拠隠滅の恐れがあるとして、同省はガイドラインを改正。指導の際、目的などを文書で示せばいいようにする。
塩崎恭久厚労相は8日の閣議後会見で「都道府県には改めて、今でもできる抜き打ちを含め、しっかり現場を見ていくようにお願いした。現場で問題がおきないように未然に防ぐ手立てをとってほしい」と述べた。
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介護施設で起きている問題
人と人とが接していれば必ずいざこざや食い違いが起きます。働き手と利用者の間にジェネレーションギャップがある上、ずっと人に接していなければならない「介護」という仕事は、ストレスの抜き方が難しい仕事かと思います。
介護施設のほとんどは利用者から1~2割の自己負担と、国(区市町村)から8~9割の報酬を得ることができる介護保険で運営されています。
要介護者の数だけ仕事があり、公費で多くを賄う介護保険事業には仕組み的にもいろいろな問題が生じています。人間関係、運営でこんな話を聞いたという一例を紹介していきたいと思います。
職員から利用者への暴力・侮辱
職員から利用者への暴力や侮辱は高齢者虐待にあたり、対策が強化されています。
最近ニュースになっていますが、どこでも高齢者への虐待が起きているというわけではありません。人と人が接していればストレスがたまるため、リラックスする時間を確保できないと荒い介助になったり、口調がきつくなったりは誰にでもあり得るかもしれません。理由があって身体の自由を制限する身体拘束がよく問題視されていましたが、各施設の努力でこれらは減ってきたようです。ただ、それだけ職員にとってはヒヤリとする場面が増えています。
利用者から職員へのセクハラ・暴力
介護業界の暗黙の了解としてこちらは問題にならないことが多いのですが、利用者に殴られる・怒鳴られる・噛まれるということは重度の方と接するとあります。
また、セクシャルな面でも、要介護者や認知症を理由に大きな問題にしないでいますが、若い人が同じことをしたら警察のお世話になるようなことも結構起きているようです。
介護施設運営者から従業員へのパワハラ・強制
介護業界は人材不足です。サービスでかなりの時間奉仕しているという話も聞きます。
介護報酬の算定率を上げて売り上げを確保するために、必要のない介護サービスを無理やり行わせたり、名義貸しで人件費を浮かしたりということもたまにニュースで出ています。利用者からの暴力、業務中の事故・怪我などに対して、自己責任・能力不足という扱いをされて有耶無耶にされることもあるようです。一般的には業務を遂行し、それに起因する怪我は労災ですが、労災として扱われた例は少ない現状です。(介護職員が申請しないのも原因にあります)
介護報酬の不正請求(水増し請求・架空請求・虚偽書類・名義貸し)・不正受給
介護報酬は、9割 介護保険給付、1割 利用者自己負担です。(一部2割自己負担も)
9割を占める介護保険給付分は国保連(国民健康保険団体連合会)に請求して保険者から支払われます。
点数と明細をチェックはしますが、ケアマネジャーが管理する以外には、実際に介護サービスがその通り行われていたか、そのサービス提供が妥当なのかはチェックされない仕組みになっています。
不正請求などで介護事業所212カ所を処分 厚労省
2016年3月8日08時10分
2014年度中に介護報酬の不正請求などで介護保険にかかわる処分を受けた事業所は212カ所だった。過去最多だった前年度から6カ所減った。厚生労働省が7日、公表した。
処分別の内訳は、介護保険の指定取り消しが94カ所で、一定期間の事業停止処分が118カ所。介護報酬の返還対象は126カ所で、制裁的な加算金を含む総額は約5億円に上る。
指定取り消し処分94カ所のうち、訪問介護が47カ所で最多で、デイサービスが21カ所で続いた。理由は、サービスをしていないのに報酬を請求するといった不正請求が67・0%で最多。施設や運営の基準違反と指導監査時の虚偽報告がそれぞれ31・9%だった。
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介護は半公共事業、事業者に向けて監視の目を
介護のありのままの現状を受けとめつつ、建設的に対処できるように、敢えてこの記事で介護事業での問題をピックアップしました。
従来の介護保険事業者への監査や指導は、「この日に行くからそれまでに書類作っておいてね」という性質でした。当然、事業者は必死でその書類だけを作って、危なそうなものは隠して準備します。
自分も経験ある・思い当たるという方も多くいらっしゃるかと思います。介護業界には一般的な倫理感で判断される あり なし の線引きとは違う、歪んだ風習が存在してしまっています。
政治的な問題や利権などが複雑に絡む医療介護業界がより高品質でクリアーな業界になるよう、監査や事業所の評価システムが少しずつ整ってくるとよいですね。
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