認知症や重度要介護者を介護する介護者側の介護負担を評価測定するZarit介護負担尺度日本語版 短縮版(J-ZBI_8)で、正しい介護負担軽減を定めた介護計画・看護計画・ケアプランを作りましょう!

認知症や重度の要介護の状態など、介護保険サービスの利用の目的として、多くの場合『介護負担軽減』が目標に挙がります。介護負担軽減の根拠を示せますか?
介護負担の定義を知り、現在どの程度の介護負担があり、介護サービス導入でどの程度軽減されるのかという根本的なところは避けたままケアプランや介護計画が作成されていることもしばしばあります。感情的なことも大切ですが、ケアマネジメントでは客観的な根拠に基づいて介入方法を選択して、その介入効果を本人や介護者にアセスメントしていくことが求められます。
例えば、福祉用具を導入したときや、ヘルパーの援助を追加したとき、住宅改修をした後など、どのくらい介護負担が減少したのか気になりますよね。
介護負担を把握し、介護者の身体的負担、心理的負担、経済的困難などを総括し、介護負担として測定する一つの手段・考え方として、Zarit介護負担尺度を紹介します。
Zarit介護負担尺度で、介入前と介入後、その後の経過を測定し、介護負担が軽減しているのかという介護者の立場を理解・把握してみましょう。

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Zarit 介護負担尺度日本語版 短縮版(J-ZBI_8)とは

Zarit 介護負担尺度日本語版の短縮版(J-ZBI_8)

J-ZBI_8 は,介護の大変さ(介護負担)を客観的に測定するために 2003 年に荒井らにより開発された尺度のこと。
介護者に8つの質問項目に答えて頂き、その点数の多寡により介護の大変さを評価しよう とするもので、0-32 点の値をとりうる。
引用:Zarit介護負担尺度日本語短縮版を利用して、在宅で家族を介護している方の抑うつ症状の有無を、簡便に判定できる目安を設定

Zarit 介護負担尺度日本語版(J-ZBI_8)の調査測定項目、評価用紙

Zarit 介護負担尺度日本語版(J-ZBI_8)の調査測定項目、評価用紙

Zarit介護負担尺度日本語版 短縮版(J-ZBI_8)の実際の内容については、以下のサイトなどで確認できます。

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介護負担の定義

介護負担とは、親族を介護した結果、介護者が情緒的、身体的健康、社会生活および経済状態に関して被った被害の程度

在宅介護の促進を図る上で、介護者(要介護高齢者を在宅で介護する者)の介護負担を客観的に把握し、その軽減を図っていくことは極めて重要である。介護負担という概念を初めて定義したのは、Zaritらであり、その定義によると介護負担とは、「親族を介護した結果、介護者が情緒的、身体的健康、社会生活および経済状態に関して被った被害の程度」である。Zaritらは、この定義に基づき、身体的負担、心理的負担、経済的困難などを総括し、介護負担として測定することが可能な尺度、Zarit介護負担尺度(ZBI)を作成した。

引用:Zarit 介護負担尺度日本語版の短縮版 (J-ZBI_8) の作成 その信頼性と妥当性に関する検討, 荒井 由美子・田宮 菜奈子・矢野 栄二, 日本老年医学会雑誌, Vol. 40 (2003) No. 5 P 497-503

良い介護介入・支援方法ができていれば介護負担は軽減する

「介護負担軽減」という言葉は、介護計画、看護計画、ケアマネージャーのケアプランなどでよく目にします。
その支援の方針に沿って目標を立てていることが多いですが、その時点の介護負担の度合い、支援導入後の変化について測定をすることはあまり行われていません。
介護負担の原因は、医療的ケアに費やす時間や緊張感かもしれませんし、認知症の周辺症状かもしれません。
負担感というのは介護者の感じ方で違いますし、要介護者の状態も千差万別です。
介護負担軽減が目標に設定されて、その後いろいろな支援方法、ケアサービスを開始して、なんとなく満足している気がしてしまっても、介護負担が減少しているかはわかりません。
モニタリング・アセスメントの中で、介護負担という抽象的なものを分類し、数量的、点数化した測定を行うことで新たな気付きは多いと思います。

家族・主介護者(キーパーソン)の介護負担と抑うつ症状

介護負担が大きい状態が続くと、からだ、こころ、お金などの負担が増加します。
その結果、俗にいく「追い込まれる」「燃え尽きる」「鬱になる」という状態になりやすいです。
しかし、ひと時の対面だけだと介護負担から出てくる抑うつ症状の度合いに気付けないことも多いです。
カットオフ値というわけではありませんが、Zarit介護負担尺度日本語版の短縮版(J-ZBI_8)で13点以上だと抑うつ症状がある可能性が高いという結果が発表されました。

Zarit介護負担尺度日本語短縮版を利用して、在宅で家族を介護している方の抑うつ症状の有無を、簡便に判定できる目安を設定

平成26年8月22日 独立行政法人 国立長寿医療研究センター
国立長寿医療研究センターの荒井由美子・長寿政策科学研究部長は、ペンシルバニア州立 大学Zarit(ザリット)教授との共同研究において、在宅で家族を介護している方の抑うつ症 状の有無を、簡便に判定できる目安となる値(Zarit介護負担尺度日本語版の短縮版における 得点)を見いだしました。
高齢社会の進行に伴い、在宅で家族を介護する者(以下、家族介護者)は数百万人と推定され、その数は増加の一途を辿っています。
現在、家族介護に伴う、抑うつ・虐待等が社会問題となっており、対応策を講ずることが、喫緊の課題となっています。従って、家族介護 者の介護負担を的確に評価し、介護に伴う抑うつ等の諸問題を事前に予測・予防できるようにすることが必要です。 一方、在宅の現場で、介護者の負担を、正確かつ簡便に把握することは容易ではありません。そこで、荒井由美子・長寿政策科学研究部長らは、2003年にZarit介護負担尺度日本語版の短縮版(以下、J-ZBI_8)を開発しました。
この尺度は、僅か8項目で、介護負担を正確に測定できることから、現在、我が国の在宅の現場等で最も頻用されています。 今般、当該尺度の開発者である、荒井部長は、何点以上の得点となる場合に介護者の負担が要注意なのかの目安を示すべく、富山市における要介護高齢者の家族介護者調査の一環として、要介護者と同居していた家族介護者3,527名分のデータを解析しました。
具体的には、 介護負担得点(J-ZBI_8)と抑うつ症状(米国国立衛生研究所が開発した20項目からなる自記式抑うつ尺度)との関連について、ROC分析という手法を用いて検討しました。
その結果、J-ZBI_8において、13点以上(32点満点)であった方々には、抑うつ症状がある可能性が高いことを明らかにしました。
これまで、介護負担がどの位重いと抑うつ症状になるのかについては、世界的にも研究が少なく、明らかにされてきませんでした。今回の研究で、家族介護者のなかで、抑うつ症状の方々を、現場で、より早く発見し、支援に繋げることができるものと期待されます。
引用:Zarit介護負担尺度日本語短縮版を利用して、在宅で家族を介護している方の抑うつ症状の有無を、簡便に判定できる目安を設定

Zarit介護負担尺度の読み方

ネイティブな発音だと「ツァリット」。
ザリト、ザリット、ザリッツなど、日本語での読み方にするとこのあたりとなります。この記事ではザリットで統一させていただきました。

ザリット・ザリッツ Zarit介護負担尺度スケールの利用方法

Zarit介護負担尺度 については介護負担についての研究文献等が多くあります。
現場では用いられるようになってきましたが、使用用途によっては Zarit介護負担尺度日本語版(J-ZBI)及び短縮版(J-ZBI_8)の使用許諾 が必要になります。
長寿政策科学研究部(https://www.ncgg.go.jp/department/dgp/index-dgp-j.htm

Zarit 介護負担尺度日本語版の短縮版(J-ZBI_8)についての参考文献

Zarit介護負担尺度など、介護負担に関しては 国立長寿医療研究センターの 荒井 由美子 先生の文献が大変参考になります。

介護負担の評価と合わせてADLやQOLのことも

介護負担はADLの低下から生じる面が大きいです。精神的にも身体的にも自立して介護者依存の少ない生活に近づけば介護者の介護負担は軽減する可能性が高いです。
ADLの評価もバーセルインデックスやFIMなどを用いて客観的に評価して経過を追うことをお勧めします。

ケアプランを作成するときには、介護負担の軽減に主眼を置くとご利用者本人の希望に反した介入が増え、本人のQOLを低下させるかもしれません。Zarit介護負担尺度で介護負担を評価するとき、必ずしも身体的・ADL的に負担が大きいことだけを評価項目としているわけではありません。以下の記事では、本人の本当の希望をケアプランに取り上げることのメリットを消化しています。

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