通所リハビリの平成30年介護報酬改定の加算等の基準(2017年11月現在)
 

平成29年11月8日(水)に第150回社会保障審議会介護給付費分科が開催され、通所リハビリテーション(デイケア)の平成30年介護報酬改定の基準について議論されました。

通所リハビリの議論の流れと報酬改訂に向けた要点

通所リハビリテーションは、施設の医師がリハビリテーション専門職に指示を出し、それに基づいて通所リハビリテーション計画を立てて理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等が実施します。通所リハビリテーションでは、身体機能などの回復等を目的とすることと合わせて、生活行為や社会参加につなげるリハビリテーションの提供も課題とされてきました。医師の指示および計画の期間は多くのケースで3カ月となっており、リハビリテーションについての詳細な指示やサービス担当者会議への出席などが促進されますが、医師の負担が大きくなかなか難しいところです。これらについては、ICTの活用で医師の移動等の負担が軽減できるとよいのではないかなど建設的な議論がなされています。データ上は、医師の詳細な指示がある方がADLがBarthel Indexで改善するという結果が出ているそうです。また、通所介護との役割分担についても継続して議論されていますが、通所リハビリテーションの利用者には中重度者も多く、介護負担軽減ニーズも有るため、リハビリのみを短時間で提供する形ではニーズに応えられないため無理に役割分担を明確化すべきでないという意見も出ています。

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通所リハビリテーションの医師の指示の内容を明確化、基本報酬を見直し

通所リハビリテーションでの医師の指示としては、多くの事業所で疾患名や関節可動域訓練などの項目へのチェックシートです。老人保健施設の通所介護など、居宅介護支援事業所併設だと、ケアマネジャーや家族も参加してサービス担当者会議のような形で医師から詳細なリハビリテーションの指示を共有しているところも有ります。
今回のリハビリテーションマネジメント案では、以下の項目を医師が指示することを具体案として提示しています。

  1. リハビリテーションの目的
  2. リハビリテーション開始前の留意事項
  3. リハビリテーション中の留意事項
  4. 中止基準
  5. リハビリテーションにおける負荷量 等

この辺りは医師に頼るべきところではありますが、ケアマネジメントが医療寄りになる可能性もありそうです。

  • 【リハビリテーションマネジメント加算に追加する要件(案)】
    医師は毎回のリハビリテーションの実施にあたり、詳細な指示を行うこと。
  • 医師が当該利用者に対して3月以上の継続利用が必要と判断する場合には、リハビリテーション計画書の備考欄に継続利用が必要な理由を記載すること。

※詳細な指示とは リハビリテーションの目的及び、リハビリテーション開始前の留意事項、リハビリテーション中の留意事項、中止基準、リハビリテーションにおける負荷量等のうち1つの計2つ以上の事項。
【参考1】リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)の概要
<算定要件>
① リハビリテーション計画の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて当該計画を見直すこと。
② PT、OT又はSTが、介護支援専門員を通じて、従業者に対して日常生活上の留意点、介護の工夫等の情報を伝達すること。
③ 医師又は医師の指示を受けたPT、OT又はSTが開始日から1月以内に居宅を訪問して評価すること。
<単位数>
230単位/月
【参考2】リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)の算定率
・84% (出典)介護給付費等実態調査 平成29年4月審査分
・62.1%(病院・診療所:59.4% 介護老人保健施設:66.5%) (出典)平成27年度改定検証調査(平成28年度調査)

引用:通所リハビリテーションの報酬・基準について(PDF:1,211KB)第150回社会保障審議会介護給付費分科会資料, 平成29年11月8日

リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)の見直し 医師がテレビ電話

リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)は、以下が算定要件です。

  • リハビリテーション計画について医師が利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得ること。
  • 6月以内は1月に1回以上、6月以降は3月に1回以上の頻度でリハビリテーション会議を開催し、利用者の変化に応じ、リハビリテーション計画を見直していること。

現行のリハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)を算定する場合には、医師がリハビリテーション計画について説明することとしています。この条件だと、医師の時間的制約で説明時間を確保することができずこの加算を算定できない事業所がたくさんありました。算定している事業所は20%強にとどまっています。
そのため、平成30年改訂では、説明を理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が代わりにできるようにしてはどうかという提案があります。

介護予防通所リハにおけるリハビリテーションマネジメント加算の新設

介護予防通所リハビリテーションでも、医師の詳細な指示で加算の新設を提案しています。

【算定の要件(案)】
・ 医師は毎回のリハビリテーションの実施にあたり、詳細な指示※を行うこと。
・ おおむね3月ごとにリハビリテーション計画を更新すること。
・ 3月以上サービスを利用する場合には、リハビリテーション計画書の備考欄に継続利用が必要な理由を記載する
こと。
・ 医師又は医師の指示を受けたPT、OT又はSTが開始日から1月以内に居宅を訪問して評価すること。

引用:通所リハビリテーションの報酬・基準について(PDF:1,211KB)第150回社会保障審議会介護給付費分科会資料, 平成29年11月8日

通所・訪問リハビリテーションの質のデータ収集等事業(VISIT)

VISIT(monitoring & eValuation for rehabIlitation ServIces for long-Term care)は、通所リハビリテーション事業所、訪問リハビリテーション事業所からリハビリテーション計画書等の情報を収集しているデータベースです。現在は100か所程の事業所がデータ提供していますが、今後全国で500事業所を選定していく計画です。
データベース内容は以下です。

  • 様式1:興味・関心チェックシート
  • 様式2:リハビリテーション計画書(アセスメント)
  • 様式3:リハビリテーション計画書
  • 様式4:リハビリテーション会議録
  • 様式5:プロセス管理票
  • 様式6:生活行為向上リハビリテーション実施計画

リハビリテーションマネジメント加算の要件に、これらの情報提供を盛り込む案も出ています。
介護領域のデータベースには大きく分けると、要介護認定調査で得られる情報がベースとなっている「介護保険総合データベース」と「通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業のデータ」です。評価や測定と、エビデンスに基づいた計画等を行えるリハビリテーション専門職や看護職員が配置されている通所リハビリテーションと訪問リハビリテーションを中心にデータ収集をしているようです。
VISITは今後、データをもとに計画書等の作成支援や、リハビリテーションの質を高める分析が行われるようです。

通所リハビリテーションの社会参加支援加算の見直し

社会参加支援加算については、訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションで新たに導入された加算ですが、通所リハビリを卒業した利用者が一定割合いるときに算定できるインセンティブとして利用者全員に所定単位数を加算して良いというものです。いわゆる回転率を条件としているものなので、母数と対象者で計算するのですが、新設だったため割合の計算式や、リハビリテーションを終了した後にどう過ごしていると条件を満たすかなどについてQ&Aや通知、告知などがいろいろと出されました。
厚労省の認識としては、施設系サービスと居宅系サービスという分け方をしているため、通所リハビリテーションを卒業して居宅サービスである通所介護や小規模多機能等に移行することや、就労に結びついたケースなどは社会参加の条件を満たすものとして明記しても良いのではないかと言う提案の様です。
しかし、通所リハビリテーションでは他施設よりも個別的なリハビリテーションが安定提供されることや、顔なじみの関係などができていることなどから、利用者や家族としては通所リハビリを卒業せず継続したい希望が強いようです。

どうか。また、告示および通知に記載されていない、下記の場合を加えてはどうか。

  • 通所リハビリテーションの利用者が、要介護から要支援へ区分変更と同時に、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護に移行した場合
  • 就労に至った場合

【参考1】社会参加支援加算の概要
<算定要件>
サービス提供を終了した利用者のその後の社会参加についての条件を満たすこと。
<単位数>
12単位/日
【参考2】社会参加支援加算の算定率
7% (出典)介護給付費等実態調査 平成29年4月審査分

引用:通所リハビリテーションの報酬・基準について(PDF:1,211KB)第150回社会保障審議会介護給付費分科会資料, 平成29年11月8日

介護予防通所リハビリの生活行為向上リハビリテーション実施加算の新設

活動と参加に資するリハビリテーションを更に推進するために、介護予防通所リハビリテーションにおいても生活行為向上リハビリテーション実施加算を設けることを提案しています。
生活行為向上リハビリテーション実施加算は、ADL・IADL、社会参加などの生活行為の向上に焦点を当て、居宅などの実際の生活場面における具体的な指導等を、作業療法士又は研修を修了した理学療法士・言語聴覚士を配置して所定の計画を立てて提供する場合に所定の期間算定できます。

【参考1】通所リハビリテーションにおける生活行為向上リハビリテーション実施加算の概要
<算定要件>

  1. 生活行為の内容の充実を図るための専門的な知識若しくは経験を有する作業療法士又は研修を修了した理学療法士・言語聴覚士が配置されていること。
  2. 生活行為の内容の充実を図るための目標、実施頻度、実施場所等が記載されたリハビリテーション計画を定めて、リハビリテーションを提供すること。
  3. 指定通所リハビリテーションの終了前1月以内にリハビリテーション会議を開催すること。
  4. リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)を算定していること。

<単位数>
・3月以内の場合 2,000単位/月
・3月以降の場合 1,000単位/月
・6月以降の場合 基本報酬の100分の15を減算
【参考2】通所リハビリテーションにおける生活行為向上リハビリテーション実施加算の取得率
・0.05% (出典)介護給付費等実態調査 平成29年4月審査分

引用:通所リハビリテーションの報酬・基準について(PDF:1,211KB)第150回社会保障審議会介護給付費分科会資料, 平成29年11月8日

3時間以上のサービス提供に係る基本報酬等の見直し

通所リハビリテーションは、通所介護と比較すると時間当たりの基本報酬が高く設定されています。これについて、サービス内容としては個別リハビリテーションを提供する以外には通所介護と大きくは変わらないことも多いです。そのため、3時間以上のサービス利用については基本報酬を見直してはどうかという提案が行われています。これについては、通所リハビリテーションの方が人員面などで手厚い配置が要求されていることや、施設によってはリハビリテーションマネジメントに沿って提供時間を効果的なサービスを計画的・効果的に提供している施設もなどもあることから、報酬についてどの程度が妥当かが議論されます。
また、長時間利用の例として、過去の第146回介護給付費分科会で、公益社団法人日本リハビテーション医学会、一般社団法人日本リハビリテーション病院・施設協会、一般社団法人日本訪問リハビリテーション協会、一般社団法人全国デイ・ケア協会が提示した通所リハビリテーションの長時間利用のモデル資料が以下のスライドです。

通所リハビリの1人の利用者に対するプラン(6-8時間)
引用:通所リハビリテーションの報酬・基準について(PDF:1,211KB)第150回社会保障審議会介護給付費分科会資料, 平成29年11月8日

通所リハビリテーションの報酬改定について

通所リハビリテーションでは、医師が効果的に介入することが望まれています。その具体案として、詳細な指示や、リハビリテーション計画についての説明等の緩和およびICT利用などが提案されています。
また、ADL・IADL、社会参加などの生活行為の向上のための具体的訓練・指導を行うことや、通所リハビリテーションを卒業して、在宅系サービスや地域参加につなげることを促進する方針が描かれています。

通所介護(デイサービス)の報酬改定はこちら

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