スクールソーシャルワーカーとは?仕事内容やきついところなど

 

スクールソーシャルワーカーとは、学校現場で児童・生徒の心理的・社会的な問題を支援し、より良い学習環境を作る専門職です。不登校、いじめ、家庭環境の課題など、多様な問題に向き合いながら、児童・生徒が安心して学べる環境をサポートします。本記事では、スクールソーシャルワーカーの仕事内容ややりがい、時に「きつい」と感じられる側面まで詳しく解説します。これから目指す方や興味のある方にとって、役立つ情報をお届けします。

スクールソーシャルワーカーとは

スクールソーシャルワーカー(School Social Worker)は、学校における児童・生徒、教師、保護者、地域社会を支援する専門職で、心理的・社会的な問題を抱える児童や家庭に対してサポートを行い、学校での適応や学習環境を改善することを目的としています。略して「SSW」と呼ばれることもあります。

ソーシャルワーカーについてはこちらでも紹介しています。

海外でのスクールソーシャルワーカーの定義

海外、特にアメリカやヨーロッパでは、スクールソーシャルワーカーは学校内で児童や生徒を心理的・社会的に支援する福祉専門職として定義されています。彼らは、学業不振や行動問題、いじめ、トラウマなどの課題を抱える子どもたちに心理療法やカウンセリングを通じて支援を行います。また、家庭環境や経済的困難が学業に与える影響に対応し、保護者や家庭との連携を図ることも重要な役割です。さらに、地域の福祉機関や医療機関と連携し、必要に応じて児童を専門機関に紹介することで包括的な支援を提供します。これらの活動は法的に位置づけられており、スクールソーシャルワーカーは社会福祉士などの資格を取得した専門職として認識されています。

日本でのスクールソーシャルワーカーの定義

日本では、2008年頃からスクールソーシャルワーカー制度が文部科学省の施策として導入され、主に教育委員会や学校で活動しています。日本におけるスクールソーシャルワーカーは、主に教育委員会や学校に配置され、不登校、いじめ、虐待、非行といった具体的な課題に対応する専門職として活動しています。彼らは、児童・生徒が直面する問題を解決するために学校内外のリソースを活用し、教職員や地域社会と連携することを通じて、学校環境の改善を目指します。また、教師が児童・生徒の問題に適切に対応できるよう助言を行い、教師の負担軽減にも寄与しています。日本では多くの場合、非常勤職員として雇用され、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を有する場合が多いものの、資格要件は必須ではなく、制度としての整備はまだ進行中です。

海外と日本の違い

海外ではスクールソーシャルワーカーが法的に明確な位置づけを持ち、心理的支援や社会的問題解決の幅広い役割を担うのに対し、日本では不登校やいじめといった具体的な問題解決を中心に活動しており、非常勤職員が多い点や資格要件の明確化が進んでいない点が異なる特徴といえます。このように、両者の定義や役割には背景となる社会制度や教育環境の違いが反映されています。

項目 海外(アメリカ・ヨーロッパ) 日本
位置づけ 学校に常勤する専門職として法的に規定 非常勤職員が多く、制度的整備が途上
活動範囲 心理的支援、法的支援、社会的課題解決 教職員や地域と連携した支援
資格要件 厳格な資格要件(社会福祉士ライセンスなど) 資格要件は明確でなく、専門性が多様
支援対象 全体的な福祉・心理的ケア 不登校、いじめ、虐待などの個別問題解決

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スクールソーシャルワーカーの仕事

スクールソーシャルワーカー(以下SSW)は、学校における児童・生徒の生活を支えるための専門職です。小・中学校を中心に配置されており、一部の高等学校、特別支援学校、大学にも配置されています。
対応する問題は、子どもの年齢や発達段階、取り巻く環境によって様々で、不登校、いじめ、家庭環境の問題など多岐に渡ります。学校での生活だけでなく、学校の外での問題関わることもあり、課題を抱える子どもやその保護者に対し、相談に応じ、助言したり、必要な支援を提供します。特に近年では、経済的な問題や、ヤングケアラー問題に関わるケースも増えています。
子どもと直接話し、相談に乗るだけではなく、子どもに関わる専門職として、教員や保護者、医療機関や福祉機関と連携することも重要な役割です。
子どもたちを取り巻く人々がチームとなって、子どもの生活環境を総合的に良いものにできるよう、周囲のサポート体制を整え、構築する役割が求められます。

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主な業務内容

子どもへの支援

子どもたちの抱える様々な悩みに直接関わることが、SSWの基本的な役割です。
その内容は、クラスや部活での友人関係や教師との人間関係といった学校生活だけではなく、家庭環境などの学校外での悩みにも応じることになります。
必要に応じて、子どもの心理的なサポートをしながら、進路や学習に関する相談を受けたり、人間関係が円滑になるような社会的スキルを身につけるための助言なども行います。

保護者への支援

子どもだけでなく、その保護者を支援することもSSWも重要な仕事です。保護者とともに子どものことを考え、どうしたら子どもたちがより良い学校生活を送ることができるのか、一緒になって問題解決に取り組みます。
面談や家庭訪問、電話などで、子どもへの接し方に悩む保護者への相談援助をするほか、必要に応じて福祉サービスや地域資源、病院などの専門機関への紹介を行います。

学校や専門機関、地域との連携

SSWだけでの解決が困難な場合に、他の人々の協力を得ることも重要です。担任や学年主任、部活動の顧問といった他の教員や教頭、校長などの管理職と協力して課題解決の方法を考えたり、地域の支援機関(児童相談所、福祉事務所など)とのネットワーク構築も行います。ケースによっては、虐待など家庭での問題は児童相談所、非行・犯罪に関わることは警察といった他の専門機関の介入が必要なこともあります。こうしたケースでは、適切な機関と連携を図ったり、会議を開いて情報共有を行い、支援の方針を決めていくことも必要となってきます。

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スクールソーシャルワーカーと社会福祉士の違い

社会福祉士は「社会福祉士及び介護福祉士法」に定められた国家資格です。福祉に関する相談に応じたり、福祉サービスを提供したり、関係者と連絡調整を図るための専門職です。
社会福祉士の国家資格を活かした仕事のひとつにSSWがあります。
都道府県・市区町村教育委員会の採用試験を受験し、採用されることでSSWになることができますが、その受験要件に社会福祉士や精神保健福祉士の資格が求められることがほとんどです。

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スクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーの違い

似ている仕事に、スクールカウンセラー(以下SC)があります。SCは心理の専門家で、臨床心理士などの有資格者が、子どもへのカウンセリングを行い、心理的な問題解決を図ります。SCの仕事は、直接的な心のケアをすることが目的です。
それに対し、SSWは福祉の専門家です。他機関との連携して、病院や療育施設などの支援の場への繋いだり、社会制度を活用したり、サポート校などの選択肢の情報を提供したりと、様々な視点からアプローチし、その生活環境を整えることが役割です。子どもを取り巻く環境の問題解決を図ることを目的とします。

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スクールソーシャルワーカーのきついところ

ケースの複雑さ

SSWが対応するケースは、子どもたちが友人間や担任との関係性の中で解決できなかった問題がほとんどを占めます。そのため、必然的に難しいケースへの対応をすることとなります。子どもたちが抱える問題は多様で、複雑な家庭環境やいじめの問題など、子どもの辛い出来事に何度も遭遇するため、気持ちが落ち込むこともあります。

感情・精神面への負担

子どもや保護者は、悩みがあるからこそSSWに相談します。精神的に不安定な人々と接することになるため、気持ちが引きずられて、重荷に感じることもあるでしょう。
特に子どもの一生を左右するような重要な問題に関わるときは、自分の声かけひとつで人生が変わるかも…という重圧を感じる場面も。深刻な問題や、教員や保護者などの理解・協力が得られない状況に直面すると、精神的に負担を感じることがあります。

学校や保護者との調整の難しさ

他の教師、管理職と子ども、保護者との関係など、会うこと、話すことが重要となるSSWだからこそ、関係性を作るための連絡調整が多く、負担に感じる場面もあるかもしれません。中には、まだSSWの役割を十分に理解していない教員もおり、協力体制を築くのが困難なこともあります。
また、近年では就労している保護者がほとんどで、SSWの定められた勤務時間には保護者も就業中であり、なかなか予定が合わないことも。どうしても必要な場合や、緊急の場合には柔軟な対応が求められます。

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スクールソーシャルワーカーの難しいケースへの対応

SSWは不登校や家庭の問題など、解決が難しいケースにこそ積極的に介入していきます。不登校への支援不登校の原因は、学業不振、いじめ、家庭環境、精神的な問題など様々です。ほとんどのケースで、原因はひとつではなく、複合的な要因が複雑に関係しあっています。
面談や家庭訪問を行い、子ども一人ひとりに合った個別支援計画の策定を行うなど、子どもがどんなサポートを必要としているかを考え、生活がより良いものとなるように取り組みます。家庭の状況に原因がある場合、家庭訪問を行うなどで保護者との話し合いを重ねます。
なかには、まずは子どもや保護者に会うことからままならないケースも珍しくありません。学校に来ていない子どもや、学校からの支援に否定的な保護者と直接会って信頼関係を築くことは容易ではないため、問題にじっくりと取り組む姿勢、解決を焦らない姿勢が求められます。難しいケースほど、解決には時間がかかります。SSWが関わるケースはでは、子どものペースに合わせて支援を続けることが重要です。
場合によっては、児童相談所や医療機関と協力して支援を進めるなど、学校外の専門機関に協力を求めることもあり、地域や他機関との関係も重要になってきます。
SSWに重要なのは、人間関係や信頼関係を築くこと。様々な人に合わせ、親身に対応し、時間をかけて関係性をじっくりと構築していくことで、問題解決に向かっていくことができます。

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まとめ

スクールソーシャルワーカーは、子どもたちの「今」と「未来」を支える大切な存在です。
学校現場において必須の専門職となるべく、文部科学省により環境整備が進められており、その重要性は今後ますます増してくることでしょう。
困難も多いですが、その分、子どもや家庭が変わる瞬間を間近で感じることができ、子どもたちの将来を大きく変えることができるやりがいのある仕事です。
子どものために一生懸命になれる人、自分のことのように親身になって相談に応じられる人には、ぴったりの仕事だといえます。子どもたちを支え、生きていくための力になるのがSSWの役目です。

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