介護休業制度について詳しく紹介します。介護休業の対象となる「常時介護を必要とする状態」についても表で該当する目安を紹介。
介護休業(93日:介護の体制構築のための休業)の分割取得や、介護休暇(年5日)との違い、介護休業給付金の給付額の計算式、支給日数限度などもまとめて紹介します。
このページの目次
介護休業制度とは
介護休業制度とは、要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業です。雇用保険の被保険者で、一定の要件を満たす方は、介護休業期間中に休業開始時賃金月額の67%の介護休業給付金が支給されます。
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介護休業の対象となる家族とは
介護休業の対象となる「家族」は、配偶者 (事実婚を含む) 、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。
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介護休業の対象となる「常時介護を必要とする状態」とは
介護休業は2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族を介護するための休業で、常時介護を必要とする状態については、以下の表を参照しつつ、判断されます。ただし、この基準に厳密に従うことにとらわれて労働者の介護休業の取得が制限されてしまわないように、介護をしている労働者の個々の事情にあわせて、なるべく労働者が仕事と介護を両立できるよう、事業主は柔軟に運用することが望まれます。
「常時介護を必要とする状態」とは、以下の(1)または(2)のいずれかに該当する場合であることと示されています。
(1)介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。
(2)状態①~⑫のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。
1 | 2 | 3 | |
①座位保持(10分間一人で座っている ことができる) |
自分で可 | 支えてもらえればできる (注3) | できない |
②歩行(立ち止まらず、座り込まずに5m程度歩くことができる) | つかまらないでできる | 何かにつかまればできる | できない |
③移乗(ベッドと車いす、車いすと便座の間を移るなどの乗り移りの動作) | 自分で可 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
④水分・食事摂取(注4) | 自分で可 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
⑤排泄 | 自分で可 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
⑥衣類の着脱 | 自分で可 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
⑦意思の伝達 | できる | ときどきできない | できない |
⑧外出すると戻れない | ない | ときどきある | ほとんど毎回ある |
⑨物を壊したり衣類を破くことがある | ない | ときどきある | ほとんど毎日ある(注5) |
⑩周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れがある | ない | ときどきある | ほとんど毎日ある |
⑪薬の内服 | 自分で可 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
⑫日常の意思決定(注6) | できる | 本人に関する重要な意思決定はできない (注7) |
ほとんどできない |
(注1)各項目の1の状態中、「自分で可」には、福祉用具を使ったり、自分の手で支えて自分でできる場合も含む。
(注2)各項目の2の状態中、「見守り等」とは、常時の付き添いの必要がある「見守り」や、認知症高齢者等の場合に必要な行為の「確認」、「指示」、「声かけ」等のことである。
(注3)「①座位保持」の「支えてもらえればできる」には背もたれがあれば一人で座っていることができる場合も含む。
(注4)「④水分・食事摂取」の「見守り等」には動作を見守ることや、摂取する量の過小・過多の判断を支援する声かけを含む。
(注5) ⑨3の状態(「物を壊したり衣類を破くことがほとんど毎日ある」)には「自分や他人を傷つけることがときどきある」状態を含む。
(注6)「⑫日常の意思決定」とは毎日の暮らしにおける活動に関して意思決定ができる能力をいう。
(注7)慣れ親しんだ日常生活に関する事項(見たいテレビ番組やその日の献立等)に関する意思決定はできるが、本人に関する重要な決定への合意等(ケアプランの作成への参加、治療方針への合意等)には、指示や支援を必要とすることをいう。
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2017年1月1日以降の介護休業制度
2017年1月1日に「改正 育児・介護休業法」が施行されました。
1.介護休業(93日:介護の体制構築のための休業)の分割取得
取得回数の実績を踏まえ、介護の始期、終期、その間の期間にそれぞれ対応するという観点から、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として、介護休業の分割取得を可能とする。
2.介護休暇(年5日)の取得単位の柔軟化
半日(所定労働時間の二分の一)単位の取得を可能とする。(日常的な介護ニーズに対応)
3.介護のための所定労働時間の短縮措置等(選択的措置義務)
(現行:介護休業と通算して93日の範囲内で取得可能)介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用を可能とする。(日常的な介護ニーズに対応)
4.介護のための所定外労働の免除(新設)
介護終了までの期間について請求することのできる権利として新設する。(日常的な介護ニーズに対応)
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介護休暇と介護休業の違い
介護休業はまとまった日数を計画的に休む制度、介護休暇は1日から数日突発的に休むことができる制度という違いがあります。
介護休業 | 介護休暇 | |
---|---|---|
期間 | 対象家族1人につき93日 3回まで分割取得可能 |
対象家族1人につき1年に5日 対象家族が複数の場合1年に10日 |
取得手続き | 原則2週間前までに申出 | 休暇当日の申出も可 |
雇用保険の給付 | 介護休業給付を申請できる | 制度なし |
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介護休業給付金はいくらもらえる?
介護休業取得中は、通常、会社から給与は出ませんが、ハローワーク(公共職業安定所)から以下のような「介護休業給付金」が支給されます。
介護休業給付金の支給対象となる人
支給対象となる人は、雇用保険に加入していて、介護休業開始の直近2年間に給与をもらった月が12か月以上ある人です(注)。この要件を満たせば、正規雇用・非正規雇用による支給要件の違いはありません。
(注)支給要件には、雇用保険の一般被保険者であること、介護休業開始の直近2年間に賃金支払基礎日数が1か月あたり11日以上ある月が12か月以上あること、などの細かな要件がありますので、詳しくは人事担当者(担当部署)に確認してください。
介護休業給付金の給付額
介護休業給付金の給付額は、介護休業を開始したときの賃金日額×支給日数×67%という計算式になっています
賃金日額は、介護休業する直前6か月分の賃金を180で割って求めます。
介護休業給付金の支給日数限度
介護休業給付金の支給日数限度は、93日です。
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介護休業給付金の申請方法
要介護状態の家族がいる従業員から企業へ、「育児・介護休業申請書(介護休業申出書)」を、介護休業取得予定日の2週間前までに提出します。
労働者は、介護休業の介護休業申出書に、対象家族についてのこれまでの介護休業日数を記載して、所属先に申し出しなければなりません。
介護休業終了日の翌日から2か月後の月の月末までに「介護休業給付金支給申請書」と「雇用保険被保険者休業開始時賃金証明票」を、事業所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)に提出します。本人に代わって会社が提出してくれることもありますので、人事担当者(担当部署)に確認してください。
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介護休業制度の問題点
育児・介護休業法の制度の利用を理由とした場合に解雇、降格、減給など、労働者に不利益な取扱いをしてはならないと規定されています。
日本は高齢化が国家課題になっているので、どんな人でも親や親戚の介護をしなければならない状態になる可能性が高いです。しかし、介護休業という制度はあっても活用はなかなか進まず、介護のための離職(介護離職)をすることも問題点となっています。
介護はどのような形で介護と生活を成り立たせるかの体制を整える段階が一番の重要だと思います。ケアマネジャーや介護サービス事業者などと現実的にどのように生活を組み立てれば継続できるかを考える時間を取れないと、流れで介護離職して在宅介護する形になるか、施設に預けるかの2択になりやすいです。
少子高齢化社会の中で、働き手は貴重なのですが、介護を理由に仕事を休むのではなく、周りに迷惑をかけてまで会社に居残れないという空気感で離職を選ぶ人が後を絶ちません。
制度上は3回を上限として、介護休業の分割取得を可能としており、企業側もこのような申し出があったら断ったり労働者に不利な扱いをしたりすることは認められないこととされていますが、最大93日という約3カ月の期間、働き手が1名不在になるためにどう穴埋めするか対応が難しい職場も多くあります。
都道府県や国は、介護と仕事の両立ができるように介護休業を取得させる対応などをした企業に対して、介護休業取得応援奨励金を出すなどの支援策をしています。
だれもが介護を経験する可能性が高い状態ですので、さらに企業を後押しして自然と仕事と介護の両立ができる世の中になると素敵だと思います。
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