熱中症・熱疲労・熱射病・脱水の段階に応じた症状と対策

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夏にかけて「熱中症」に気をつけなければなりません。発汗量には個人差がありますが、人の発汗量は高温な環境の中で運動をすると1時間に2.5リットルに及ぶこともあります。2.5リットル発汗したとすると、体重の約2%が失われる状態となり熱中症のリスクにつながります。高齢者の場合には、ホメオスタシス機能が低下しており、体温調整しにくいことが多くなっています。また、水分摂取・室温調整・適切な衣類の選択などの自己管理がしにくくなっており、熱中症のリスクは高いです。この記事では、熱中症・熱疲労・熱射病の症状や、脱水による体内の重篤な変化について紹介します。これからの季節の熱中症対策に役立てていただければと思います。

熱中症とは

熱中症とは「高温多湿な環境で、体温調節、体液調整、循環調整など体内の主要な調整機能が破綻するなどして発症する障害」を言います。
熱中症という言葉から気温が高い日に起きる病気だと思われますが、必ずしも高温多湿な時にのみ発症するわけではありません。
熱中症は、気温や湿度の他、運動の状態、衣服、時間、精神状態、個人的な特性など、その他の条件でも熱中症が発症する危険性はあります。
熱中症には段階があり、それぞれ症状や重症度が異なるため、予備知識として知っておくとどう対処すべきかの判断に役立ちます。

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軽度熱中症の症状と対応

軽度熱中症は、めまいや立ちくらみが主な症状です。また筋肉痛や足がつるなどの痙攣症状も見られることがあります。脱水の徴候として、大量の発汗も見られます。頭痛や吐き気、倦怠感などの症状があらわれた場合、脱水はかなり進行していることがあります。脱水が進んでいる場合にはバイタルサイン上、脈拍や呼吸数が上昇するなどの所見も見られます。

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中等度熱中症・熱疲労(ねつひろう)の症状と対応

中等度熱中症は「熱疲労」と呼び、脱水がかなり進行した状態を言います。すでにめまいや立ちくらみが症状として現れていますが、そのまま対処せずに無理に作業や運動を続けていると意識障害や全身痙攣、手足の運動障害、体温の上昇などを発症します。大量に発汗し、水分と塩分を失い、循環血液量が減少した脱水の状態になっています。

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重度熱中症・熱射病(ねっしゃびょう)の症状と対応

重度熱中症は「熱射病」と呼び、意識障害、全身痙攣、手足の運動障害、40℃以上の体温の上昇など症状があります。突発的に熱射病を生じることもありますが、連日脱水になっている状態が重なると、熱疲労や熱射病に移行することもあります。
体温が40℃以上に上昇し、脳の機能が障害されます。また皮膚の毛細血管拡張、発汗ができなくなり、熱放散量が減少してどんどん体内に熱が蓄積します。
このような状態になると、命に係わる非常に危険な状態であり、迅速に医療的処置が必要になります。

救急の時には119番通報して救急車を呼びましょう。

救急車を呼ぶべきか、それとも病院に直接向かうべきか。多くの人がこのような緊急時の判断に迷った場合には、救急安心センターの電話相談サービス「#7119」を利用しましょう。

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熱中症の対処法

ここまで述べてきたような熱中症、熱疲労、熱射病のような症状が現れた場合、すぐに運動などを止め休憩を取ったり、水分を摂取しからだを冷やしたり、救急車を呼ぶなど適切な処置をすることが必要です。

  • 熱が39℃を超えている場合
  • 皮膚が乾いて熱くなっている状態
  • 激しい頭痛
  • めまいや吐き気
  • 意識障害

これから見られる場合には、救急車を呼ぶほうが賢明です。この症状の中でも、皮膚が乾いて熱くなっている場合や、意識障害が出ている場合にはかなり重篤な状態と考えた方が良いです。

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熱中症による体内の変化と重篤化

人の体温はホメオスタシス機能により、通常37℃ぐらいに保たれるようになっています。体の中の臓器も37℃前後で働くようにできていて、平熱を超えそうになると、体の表面の末梢血管に血流がたくさん流れてたりして汗を出し、その蒸発で体を冷やすように働きます。その際、臓器の方への血流は減少し、体内の熱は蓄積する傾向にあります。体温の上昇した状態が長時間に及ぶと発汗による脱水症状とともに、熱を運ぶ血液の量も低下して、心臓への負担がさらに増加します。心臓は、脱水で血液が臓器に届きにくくなっていることをを補うために心拍数を上げますが、心臓を動かしている心筋への血流も減ってくるため心臓への負担はさらに増大します。体温上昇で代謝が増えている中で血流は減少しており、心臓も心拍出量の維持ができなくなります。最終的に体の内部から熱が逃げられない悪循環に陥り、体温維持機能が破綻して体温が上昇し始めることが熱中症の怖いところです。
細胞は体温が40℃になると変性が起き、41℃で細胞の中のミトコンドリア機能が低下してエネルギーが生産できない状態になります。このような状態になると元に戻らない臓器障害となっていく可能性があります。

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熱中症を予防するポイント

熱中症で救急搬送される人数は、7月中旬、8月の上旬、8月の中旬から下旬にかけての3回のピークがあります。最近の傾向として、梅雨明け後、あるいは梅雨明け前に気温が高温になる日が増え、体が高温に慣れていない時期も要注意です。
熱中症の発症場所としては、屋外で運動中に多いイメージがありますが、4割ぐらいが住宅内であり、そのうち7割程度は65歳以上の高齢者という報告もあります。また発症する時間帯は1日の中で気温が最も上がる日中だけでなく、夜間も同じぐらい多いという事実があります。真夏に車の車内に子供置き去りにして熱中症で死亡するというニュースがたまに報道されますが、屋内でも同様で冷房等の対策を何もしない屋内はかなり高温になります。
高齢者の中には、お日様の光を浴びたいと言って日光がサンサンと照りつける窓際で寝ている人なども中にもいます。エアコンは苦手なのでつけないという人もいます。トイレが近くなるので水はできるだけ飲まないという人もいます。

熱中症予防の基本は、こまめな水分摂取と放熱です。
このような生活習慣やこだわりを変えるのはなかなか難しいことですが、これからの世の中で高齢者の熱中症対策は深刻な課題として考えていかなければかもしれないですね。

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