軽度認知障害とは?MCIという認知症の一歩手前が注目される理由
広告

認知症は高齢化社会において大きな課題ですが、その前段階として「軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)」が注目されています。MCIは健康な状態と認知症の中間に位置する状態であり、早期に気づくことで改善や進行抑制の可能性がある点が大きな特徴です。

この記事では厚生労働省が発行したMCIハンドブックに基づき、MCIの定義や認知症との違い、進行の速度、予防や生活上の工夫について解説します。

厚生労働省や国、医療の専門家などは認知症について医学的に治療や予防をすることが大切ということばかり主張していますが、MCIという認知症なる一歩手前の状態を医療的な見方だけで過ごすのではなく、その人が生きてきて築いた人間関係や資産、家族へ伝えることなど、あらゆるものを自分で考えて判断できるうちに整理する期間として捉えることも絶対に忘れてはならないと思います。「予防」という言葉は、今は医療の見込み客のようなものです。そのようなことも考えながら読んでいただけたら幸いです。

軽度認知障害(MCI)とは?

軽度認知障害(MCI)とは?

引用:「あたまとからだを元気にする MCIハンドブック」(厚生労働省)

軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)とは、本人や家族が「物忘れ」や認知機能の低下を自覚しているものの、日常生活には大きな支障が出ていない状態を指します。健常と認知症の中間にあるため、「一歩手前の段階」と表現されます。

特に新しい機械の操作や初めての場所での行動が難しくなるなど、細かな不自由が現れるのが特徴です。ただし、MCIだからといって必ず認知症に進行するわけではありません。

広告

軽度認知障害(MCI)と認知症の違い

項目 軽度認知障害(MCI) 認知症
認知機能 正常より低下しているが、軽度にとどまる 明らかに低下しており、病的なレベル
本人や家族の自覚 物忘れや判断力の低下を自覚しやすい 本人は自覚しにくく、家族が気づくことが多い
日常生活への影響 基本的な生活は自立して行える。金銭管理・服薬・買い物などに大きな支障はない 生活自立が困難になる。金銭管理・服薬・食事などで明確な支障がある
診断基準上の位置づけ 健常と認知症の中間段階 認知機能低下+日常生活の自立困難がそろって成立
経過 認知症に進行することもあるが、改善して健常に戻る場合もある 原因疾患により進行し、多くは不可逆的
回復の可能性 1年間で約16~41%が健常に戻るとされる 回復は基本的に困難で、進行を遅らせる対応が中心

認知症は「一人暮らしが困難になるほど認知機能が低下した状態」であり、金銭管理や服薬、食事など日常生活に明確な支障が出ます。一方でMCIは認知機能の低下が見られるものの、生活自立は維持されている点で異なります。

MCIは、認知検査では低下が見られるが、金銭管理や調理、服薬などの基本的な生活は自立して行える。

認知症は、認知機能低下により、生活の自立が困難になる。

広告

軽度認知障害(MCI)は治るのか?

MCIは必ずしも不可逆ではなく、運動・食生活の改善や認知トレーニングなどを行うことで健常な状態に戻ることが確認されています。1年間でおよそ16~41%の人が回復するとされており、早期からの取り組みが重要です。回復とは、記憶力や認知機能の検査結果が正常範囲に戻り、診断基準上「健常」と判定されるレベルに改善したという意味で示されています。

認知機能に障害ありとは?

厚生労働省の「MCIハンドブック」や専門的な診断基準に基づくと、MCI(軽度認知障害)の「認知機能に障害あり」という判定は、主に以下のような方法で行われます。

MCIの「認知機能に障害あり」とは、 神経心理検査で正常より低いスコアを示しつつ、日常生活の自立は維持できている状態 を指します。つまり「数値で低下が確認されるが、生活は成り立っている」というグレーゾーンの状態がMCIです。

① 本人や家族からの自覚・訴え

MCIの診断はまず「物忘れが増えた」「新しいことが覚えにくい」「同じことを何度も尋ねる」など、本人や家族の訴えを確認することから始まります。単なる加齢によるものか、病的な低下かを見極めるために、日常生活での困りごとを詳細に聞き取ります。

② 神経心理検査・スクリーニング検査

MCIの判定には、認知機能を測定する標準化された検査が用いられます。代表的なものに以下があります。

MMSE(Mini-Mental State Examination:改訂長谷川式簡易知能評価スケール類似)

30点満点で、27点未満でMCIの可能性が指摘されます。

MoCA(Montreal Cognitive Assessment)

軽度障害を見逃さないよう設計された検査で、記憶・注意・遂行機能など幅広く測定します。

CDR(Clinical Dementia Rating)

記憶、判断力、社会活動、家庭生活など複数領域を観察し、「0.5=軽度障害」と判定されればMCIに相当します。

③ 日常生活への影響の有無

MCIと認知症を分ける大きなポイントは、日常生活に明確な支障が出ているかどうかです。

  • MCIは、認知検査では低下が見られるが、金銭管理や調理、服薬などの基本的な生活は自立して行える。
  • 認知症は、認知機能低下により、生活の自立が困難になる。

④ 医師による総合判断

診断は検査の点数だけでなく、本人の訴え、家族の観察、既往歴、画像検査(MRIなど)を含めた総合的な判断で行われます。

広告

軽度認知障害(MCI)から認知症になるまでどれくらいかかる?

MCI における早めの対策が認知症予防の鍵

引用:「あたまとからだを元気にする MCIハンドブック」(厚生労働省)

MCIと診断された人が認知症に進行する割合は1年で約5~15%とされています。つまり、すぐに認知症に至るわけではなく、進行を遅らせたり回復する余地もあるのです。

広告

軽度認知障害(MCI)の症状や認知症になるリスクを軽減する要因一覧表

認知症予防に最も効果的であると強調されているのは 運動(特に有酸素運動や筋力トレーニングなどの継続的な身体活動) です。また、「運動+社会参加(人との交流)」や「運動+栄養改善」などの複合的アプローチがより効果的であるともされています。

項目 リスクを高める要因 リスクを軽減する要因
運動習慣 運動不足 定期的な有酸素運動や筋トレ
食生活 不規則な食事・過剰摂取 バランスの良い食事・減塩
生活習慣病 糖尿病・高血圧・肥満 適切な治療と予防
社会参加 孤立・引きこもり 趣味・交流・外出
睡眠・聴力 睡眠障害・難聴 良質な睡眠・補聴器活用
広告

軽度認知障害(MCI)の段階で、医療だけでなく、お金や資産、家族関係なども整理を

MCIは自覚があり日常生活が保たれるため、本人や家族が将来を話し合う貴重なタイミングです。財産管理、家族信託、介護方針などを検討しておくことで、認知症が進んだ際のトラブルを避けられます。認知症に進んでしまった場合、家族が本人の資産を運用したり、処分したりすることに制限が生じ、老人ホームに入れる時の費用が捻出できないなど問題が生じることが多いです。

認知機能がしっかりと保たれているうちに、家族間でしっかりと話し合い、家族信託や成年後見制度など法的にも準備をしておく必要があります。医療機関で認知症やMCIの話をされても医療面のことばかり説明されてそれだけでいっぱいいっぱいになってしまいますが、実際にはMCIの段階は本人の判断能力や意思決定能力が残された期間とも考えることができ、認知症に発展せずに軽減することも中にはありますが、受け入れてこの期間にしっかりと準備をする必要があります。

広告

軽度認知障害(MCI)を医療機関で見つけると、治療効果は乏しいけれど医療漬けにできる

現状、MCIに対する特効薬はなく、医療機関で診断されても根本的に治療できるわけではありません。そのため、必要以上に薬や検査に依存し「医療漬け」になるリスクも存在します。認知症のリハビリと言っても、それで明確に効果が出て治るというようなものではなく、ごく一時的な効果程度なのが現状です。治療に関しても、例えばイライラしやすい状態だったら向精神薬で落ち着いてもらう、血圧が高めだったら下がるように降圧剤を出すなどの対症療法が多く、むしろ薬によって体調のバランスが崩れてその人らしくなくなってしまうというケースもあるようです。近年は薬が処方され過ぎることに対する問題意識が広がっていますが、それでも崩れた体調に対してさらに新しい薬が処方されてというような状況もまだ多くあるので、患者側としても医療漬け、薬漬けにならないように注意しなければなりません。

広告

認知症の治療やリハビリに期待しすぎない、医療がすべてじゃない価値観を

認知症やMCIに対しては、医療だけでなく生活習慣や社会参加が大きく影響します。サプリメントや薬に過度な期待を抱くのではなく、運動・食事・交流といった日常的な工夫こそが進行を遅らせる鍵になります。

認知症の新薬のドナネマブ、ドナネマブも話題になっている非常に高額な薬ですが、1年以上、2週間に1回の通院して点滴をするという非常に長期間で認知機能の低下を27%~29%抑制、認知症の進行を5ヶ月程度送らせることができるという効果です。薬価は年間約300万円となっており、1年以上治療して、認知症の進行を5か月遅らせるという効果が薬による効果と大きなベネフィットとなのかも甚だ疑問です。

認知症はこれからも増える疾患ではありますが、MCIを見つけることで認知症を予防できるのかと言うとかなり限定的です。MCIを世間的に注目させて認知症予備軍を見つけてあらゆる治療行為を行っていくというのは、必要なことである一方で医療利権、製薬業界の力が働いて、医療依存を高めるように誘導しているのでしょう。

誰でも認知症になる時代なので MCI という言葉を通じて認知症がを身近になることは社会的に意義があることですが、その認知症なる一歩手前の状態を医療的な見方だけで過ごすのではなく、生きてきて築いた人間関係や資産など、あらゆるものを自分で判断できるうちに整理する期間として捉えることも絶対に忘れてはならないと思います。

 

広告