自己覚知(じこかくち)の意味や方法、介護の相談援助職として自己覚知ができなくてトラブルになった事例などを紹介します。
このページの目次
自己覚知とは
自己覚知は、「じこかくち」という読み方をします。
介護支援専門員などの相談援助の面談を行う際には、自分自身の対応が対象者に対して何かしらの影響を与えてしまいます。
自己覚知とは、相談援助を行う専門職が、自分自身がどのような価値観、性格、生活感、経験等を持っていて、無意識的にどんな感情になりやすいのか、影響を受けずに中立的な支援を行うためにはどうしやたら良いかを考え、自分自身を深めて知ることです。
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自己覚知の手段・方法
手段としては、自分で自分の価値観や考え方を探るという方法もありますし、有識者や経験者などからの助言(スーパービジョン)を通してフィードバックを受け、それを繰り返すことで自己覚知を深めていくという方法もあります。
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自己覚知と他者理解
自己覚知ができているかどうかについては介護や相談援助業務の現場で日常的に起きる倫理的な問題になることもあります。
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自己覚知 チェックゲーム演習、ワークショップの例
よく自己覚知についてのワークショップなどで行われるのが、
「私は・・・」という文を思いつくままに書き出してみるということです。1つの文章に2つ以上の内容を書かないようにして進めます。
文章が10個くらい完成したら、文の右側に以下を書き入れていきます。
- 自分にとって肯定的な内容に思える場合は 肯
- 事実に基づく中立的な内容の場合は 中
- 否定的に思える内容には 否
- 肯定でもあり否定的な要素も含む場合は 両
作成した「私は・・・」の文の中で、最も自分らしいものを3つ選び書き出します。
このベスト3を近くの人同士で紹介し合い、自分の価値感や特性に向き合ってみましょう。
このようにして、「自分にとって社会福祉とは」「自分にとって介護とは」というように書き出していき、自分はどんな価値観や倫理観で考えて接してしまう特性があるのかを自分自身で把握し、クライアントから受けてしまう影響や感情の変化を掌握していきましょう。
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介護の相談援助職として自己覚知ができなくてトラブルになった事例
自己覚知ができていないと、相談援助場面で自らの価値観によって面接を行ってしまうことになります。例えば以下のような事例を参考に、ワークシートやグループワークでみんなで考えたりしてみることでも、他者の価値観や考え方を知り、自己覚知をするきっかけになるかと思います。
生活歴や価値観の違いを自己覚知できず、利用者の望む生活から逸れたプランを強行した事例
相談援助を行う専門職でも自己覚知ができていないと、援助者自身の価値観を知らず知らずのうちに押し付けてプランニングや支援を行ってしまうことがあります。
例えば、利用者は部屋の掃除の回数は週に一回していればよいと望んでいるのに対し、几帳面な性格である援助者が3日に一回は掃除をしていないと不潔だと提案してしまうケースなどです。選択肢として週1回の掃除をするということと3日に一回の掃除を行うということを選択し、利用者自身が選択するのであれば問題はないのですが、自己覚知ができていないと3日に一回の掃除をするという自分の価値観の方を押し付けてしまい「一週間に一回なんて不潔な状態でいいんですか!?」などと利用者の価値観に対して否定的に物事をいってしまうことがあります。利用者の生活習慣や価値観を理解しようとしない専門職は利用者からあまり好意的に思われず、ケアマネを好感してほしいと希望が出るなど、関係性が出来なかったというケースでした。
利用者の家族に対して、自分の価値観で「親を見るべきだ」と説教してしまった事例
介護の現場では家族との関係性をつくることが大切ですが、自己覚知ができていないと、子供ならば親が病気の時などには必ず親の面倒を見るのが当たり前だという価値観を相談援助場面ても前面に出してしまうことがあります。
家族の多様化が進んでいるとはいえ、子供が親の面倒を見るという家庭環境で育った人にとっては、親が体調を崩した時などに仕事を休んだりしてでも親の面倒を見るのが当たり前だと考えることがあります。自己覚知を事前に行っておき、「自分は親の面倒を見るという生活環境で育ってきたので何かあった時には親の面倒を見なければならないという価値観で考えやすい」ということを知っておく必要があります。
自己覚知ができていないと、親の体調が悪い時になぜ子どもが駆けつけなかったのかを強く問いかけてしまったり、怒りが湧いてしまったりすることもあります。援助者の私的な感情や価値観を自覚して、親子の関係性や、利用者の家族の生活状況などの情報収集を行い、専門職として分析を行っていくという方が適切な対応に近づきます。
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自己覚知は介護や福祉、職業的価値観の強い仕事の人には重要なこと
自己覚知とは何かについて紹介をしました。自分はどのような考え方をするのか、どんな価値観を持っているのかについて客観的に考えることはとても大切なことです。特に介護の業界では、自立支援をすべき、自分でできることは自分でやるべき、不潔な生活をしている場合には清潔な生活に切り替えなくてはならない、援助者本人が考える理想的な生活に近づけなくてはならない・・・というような判断軸が前面に出やすいです。介護に関わる仕事にも色々な職種がありますし、基礎資格での専門性から追求したい理想の利用者の生活はあるとは思いますが、自分自身はどのような価値観で判断しやすいのか事前に自己覚知し、利用者のありのままの生活や希望・要望について、冷静に一歩引いて確認し、自分の価値観からの提案をしすぎないように気をつけることが大切です。
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「バイスティックの7原則」という相談援助技術も役立ちます
このような面談やソーシャルワークを行う場面では「バイスティックの7原則」という対人援助技術も役立ちます。
ケアマネジャーの転職は、ケアマネ専門の転職サイトを利用しよう
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