平成29年11月22日(水)第152回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、平成30年介護報酬改定に向けた介護老人保健施設(老健)の介護報酬・基準について議論されました。

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介護老人保健施設の議論の流れと平成30年報酬改訂に向けた要点

介護老人保健施設は、病院と在宅の中間施設として、スムーズな在宅復帰を行うための短期入所、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションなどを提供する施設です。
特養の空きが出なかった数年前までは、どうしても長期間の入所になるケースが多く、昨今の改定では在宅復帰の強化ということでベッド回転要件が追加されました。
老健への入所は、病院等から退院して入所するケースや、在宅からリハビリテーション目的で入所するがありますが、いずれも契約や入所時に在宅復帰することについてリアリティをもって説明し、在宅復帰後の生活を想定してリハビリテーションすることが望まれています。
経営的な側面では、在宅復帰強化により利用者の入れ替わりが多くなると、そのコントロールに追われ経営に支障をきたすこともありました。
老人保健施設には医師が配置されていますが、利用者にはかかりつけ医がいます。しかし、なかなかかかりつけ医との連携ということは難しく、特に処方薬などで医師が協力して減薬などの指導を行っていくことについて、診療報酬の改定とすり合わせながら必要に応じて評価がなされるかもしれません。
老人保健施設で感染症や肺炎などになった場合、医療については様々な要因で医療機関に移送という形が採られてきました。
利用者視点でも施設視点でも、医療を提供することについてはある程度までは認めてもらえれば対応するという雰囲気ができてきており、肺炎・尿路感染症・帯状疱疹に限り施設で対応することができてきました。ただし、これらについては診断に必要な設備や体制、薬剤耐性菌の問題などもあるため良し悪しという部分です。

介護老人保健施設の機能に対する評価について

老健の機能としては、在宅復帰して生活することが明確となってきており、その機能に誘導するために在宅復帰強化の取り組みをしている施設に基本報酬の上乗せや加算を付加してきました。
これらの結果、現在は介護老人保健施設=在宅復帰という機能が明確化されてきたと考えられ、基本的な在宅復帰支援については基本報酬に包括化の流れが出てきそうです。
在宅復帰の取り組み具合については施設ごとに異なっており、
ちなみに調査資料によると平成28年10月時点で在宅復帰強化型老健は13.6%、加算型の施設は29.3%だったそうです。

  • 従来型の基本報酬については、一定の在宅復帰・在宅療養支援機能を有するものを基本型として評価することとし、メリハリをつけた評価としてはどうか。
    在宅復帰・在宅療養支援機能については、現在、在宅復帰率、ベッド回転率、退所後の状況確認等の指標を用いて評価しているが、これらに加え、入所後の取組みやリハビリテーション専門職の配置等の指標も用いることで更にきめ細かい評価ができるようにしてはどうか。
  • また、現行の在宅強化型よりも在宅復帰・在宅療養支援をより進めている施設については、更に評価してはどうか。
    ※ 介護老人保健施設が提供する(介護予防)短期入所療養介護も同様としてはどうか。
  • 併せて、退所前訪問指導加算、退所後訪問指導加算、退所時指導加算については、介護老人保健施設の退所時に必要な取組みとして、基本報酬に包括化してはどうか。
  • ただし、退所時指導加算のうち試行的な退所に係るものについては、利用者ごとのニーズによって対応が異なることから、試行的退所時指導加算として、評価を継続してはどうか。

 
引用:介護老人保健施設の報酬・基準について(PDF:3,385KB)平成29年11月22日(水)第152回社会保障審議会介護給付費分科会資料

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介護老人保健施設とかかりつけ医との連携について

介護老人保健施設に入所する際に、施設の医師以外に皆かかりつけ医がいますが、書面の情報提供を初回に受けるくらいまでの連携になってしまい十分ではありません。
特に投薬については、10種類以上を多剤投薬している場合もあり、老健の医師がかかりつけ医と連携して減薬について取り組むことについて診療報酬改定の内容とすり合わせながら検討されるようです。

介護老人保健施設で提供される医療について

老人保健施設に入所しているときに医療が必要になった場合、医療行為についての報酬がないことや、医療・検査などの設備がないことなどから、医療機関に転送することが多くあります。
介護老人保健施設の入所者には肺炎等の疾患が比較的よく発症しているが、医療機関へ転送する例が多い一方で、肺炎等については一定の薬剤に対する報酬が算定可能であれば、医療機関への転院を減少させられると考える施設が6割以上あったことなどから、 平成24年度介護報酬改定で、入所者の医療ニーズに適切に対応する観点から、肺炎などの疾病を発症した場合における介護老人保健施設内での対応について評価を行いました。

所定疾患施設療養費 305単位/日

○対象となる疾病
・ 肺炎
・ 尿路感染症
・ 帯状疱疹(抗ウイルス剤の点滴を必要とする者に限る)
○算定要件
・ 診断、診断を行った日、実施した投薬、検査、注射、処置の内容等を診療録に記載していること。
・ 所定疾患施設療養費の算定開始年度の翌年度以降において、当該施設の前年度における当該入所者に対する投薬、検査、注射、処置等の実施状況を公表していること。

この結果、肺炎や尿路感染について自施設で対応したケースが増加したという調査結果になっています。
施設方針としても、肺炎や尿路感染の疑いがあった場合も、自施設で対応(もしくは医療機関への移送を前提に自施設で治療)をして治癒させるという形も浸透してきているようです。
肺炎・尿路感染については診断のために菌の培養検査や検尿が必要ですが、菌の培養検査を行っている施設(外部委託を含む)も半数程度となってきています。
また、薬剤耐性菌の把握についても同様に半数程度の施設で実施されてきています。
老健から病院への退所者の入院理由は「肺炎の治療」が28.6%と高くなっています。

老健の機能は明確化されたが、入退所などに関わる支援はどう評価されるか

平成30年の介護報酬改定の議論の中で、老健については在宅復帰の基本的な認識は施設内外でできてきていると考えられているようです。
この流れの中で、看護師・理学療法士・作業療法士・介護職員等が入退所の時に居宅に訪問して情報収集および指導を行うことについても包括化される可能性が出てきました。
老健については、リハビリテーションマネジメントや在宅復帰強化についての細かい部分や、医療面の評価、基本報酬についての改定が主になりそうでしょうか。
まだわかりませんね。

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