介護や医療の分野では、ご逝去までのケアが中心で、死に関わる仕事でありながらも直接的に死を連想するような話は避ける傾向にあります。看取り介護などを行う場合でも、看取り時のマニュアルやエンゼルケアはマニュアル化が進んでいる施設もありますが、死後にどのようなことが行われるのか、一般的なお葬式、火葬までの流れはあまり考えることがありません。今回は、お葬式の前後も含む葬送儀礼の一般的な流れについて概要をまとめていきます。
このページの目次
葬式の意味
葬儀とは
「葬儀」とは、故人の冥福を祈って成仏祈願を行う儀式のことで、僧侶を招いて遺族や近親者とで行われます。
「告別式」とは、生前親交のあった方々が故人と最後のお別れをする式であり、本来は葬儀とは区別されます。
葬式と葬儀の違い
辞書的には「葬式」と「葬儀」はほぼ同じ意味で、死者を葬る儀式や儀礼という意味です。
辞書的な意味としては似ていますが、「葬式」は「葬儀、告別式、火葬、納骨」という火葬当日に行うことの意味合いが強いです。
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お葬式はいつやる?
まず、葬送儀礼とは、葬儀前から葬儀後までに行う一連の儀式のことをいいます。お葬式をいつやるかについて、故人を火葬することを基準に置くと、火葬当日に行うことがお葬式です。その前後にも葬送儀礼として行われること、葬送儀礼に伴って行うことがあります。
一般的な日程 | 葬送儀礼 | ポイント |
ご逝去当日 | 看取り、安置、納棺 | 死亡診断書を医師に書いてもらい、ご遺体の安置場所を決め、親しい人に逝去の連絡を行います。 |
火葬前日 | お通夜 | 通夜は、故人が火葬される前日の夜に家族や親族が遺体のそばで過ごし、別れを惜しんだり供養をします。
葬儀・告別式は火葬場が予約できる日に合わせる必要があるため、お通夜は火葬場の予約が取れた前日に行うことになります。 |
火葬当日 | 葬儀、告別式、火葬、納骨 | 一般的に火葬当日のことを「お葬式」と呼びます。 |
ご逝去から49日間 | 四十九日までの喪に服す期間 | 忌中(きちゅう)と呼ばれ、忌日法要として、初七日法要、二七日(ふたなのか)法要、三七日(みなのか)法要と続き、四十九日が最終となります。忌服期間中は控えるのがマナーとされています。 |
ご逝去から1年 | 喪中 | 喪中は、父母、子や配偶者などの親しい関係でも一年間が一般的になっています。喪中は、年賀状を出さず、前もって年賀の欠礼を詫びるあいさつ状を出し、喪に服していることを明記します。 |
それでは一つ一つ詳しく確認してみましょう。
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お通夜・葬儀・告別式の意味・目的の違い
看取り、安置、納棺、お通夜、葬儀、告別式、火葬、納骨四十九日までの喪に服す期間、喪中について、それぞれの意味や儀式の内容、流れについて紹介します。
その中でも、お通夜、葬儀、告別式の違いが分かりにくいところなので、まずは以下の表でポイントを整理しました。
日程 | 中心で進める人 | 意味・目的 | |
お通夜 | 火葬の前日 | 葬祭業者、僧侶、喪主 | 親しい人が遺体のそばで過ごす |
葬儀 | 火葬当日 | 葬祭業者、僧侶 | 宗教的な意味であの世にお送りする |
告別式 | 火葬当日 | 葬祭業者、喪主 | 親しい人が別れを告げる |
逝去からお通夜までの流れ
- 死亡診断書を医師に書いてもらう
- 親族や親しい人へ逝去の連絡をする
- 故人の安置場所を決める(安置場所はご自宅か葬儀場が一般的)
- 遺体を搬送する(搬送業者もしくは葬祭業者の手配)
お葬式までの間、遺体を安置する
- 頭を北枕で寝かせ、仏間か座敷に安置する
- 枕飾りを用意(遺体の枕元に設置する小さな祭壇)
- 喪主や世話役などの役割を決める
- 遺影写真の準備
- お葬式のお勤めを依頼する(戒名をいただくお寺を決める)
- 死亡届と火葬許可申請書を提出する
- 僧侶立ち会いのもと、納棺の儀
お通夜(通夜式)の流れ
通夜とは故人が火葬される前日に、家族や親族が夜通し遺体のそばで過ごし、別れを惜しんだり供養をすることをいいます。もともとは故人がよみがえることを望んで行った儀式だと言われ、遺体のそばで夜通し、故人の思い出話やこれまでの感謝などを語り合い、復活を願ったとされていますが、現在は2~3時間ほどで行われることが一般的になっています。
お通夜では、僧侶がお経を唱え、その後に喪主、遺族、近親者が順に焼香します。その後、一般の弔問客の焼香へ移ります。
葬儀の流れ
日本では、9割以上の葬儀は仏式葬儀で行われています。故人をあちら側の世界へ導き送り出すための宗教儀礼が「葬儀」です。
仏式では僧侶がお経を唱え、故人の冥福を祈ります。仏式の葬儀では、葬儀の際にも僧侶の読経を行い、その後に喪主、遺族、近親者が順に焼香します。その後、一般の弔問客の焼香へ移ります。
告別式の意味・流れ
告別式とは、その言葉の通り、別れを告げる儀式です。葬儀は宗教的にあの世へ葬る儀式であることであり僧侶が中心に進行するのに対し、告別式は、喪主や司会進行役が中心となって別れを惜しむ参列者のための儀式となっています。
現在は葬儀の後に告別式を続けて行う形が一般的になりました。
火葬の流れ
- 葬儀・告別式を行った会場から、火葬場へ移動する
- 火葬許可証を提出する
- 納めの式を行う
- 火葬
- 骨上げ・収骨を行う
- 埋葬許可証を受け取る
骨上げ・収骨が終わると、遺骨と一緒に「火葬済証明」が記入された「火葬許可証」が渡されます。これが「埋葬許可証」となり、お墓や納骨堂に遺骨を収めるときに必要になります。
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ケアマネジャーや介護職員はお葬式に参列するか
弔問(ちょうもん)とは訃報をうけて、遺族にお悔やみをお伝えしに出向くことです。ケアマネジャーや介護職員でも、担当のご利用者が亡くなってしまった場合などに弔問をすることはあるのではないかと思います。ご自分の気持ちよりもご遺族への配慮を優先して、弔問するかどうか決めましょう。
弔問・お悔み訪問のタイミング
- 訃報を受けてすぐに(お通夜前に)駆けつける
- 通夜・葬儀にて会葬する
- 後日にご自宅へ訪問する
弔問は義務ではありません。勤務先で対応方法が決まっている場合もありますし、施設・事業所として弔問する形もあります。また、葬儀や告別式へ弔電を打ち、お悔やみの手紙を香典とともに郵送する、といった方法もあります。また、介護関係者としては、落ち着いたときに故人に関連する必要な書類などを取りまとめてから、お悔みを兼ねて訪問し、墓前で手を合わせるという形もあります。
いずれの方法も、弔問・お悔み訪問は介護従業者の仕事というわけではなく、特定の利用者だけを特別に贔屓してしまうわけにもいかないので、ご逝去の際の対応については割り切ってしまうというのも一つの考え方だと思います。
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まとめ
介護の後には、必ず死があり、そのときにはこの記事で紹介したような形でお葬式を行い、旅立たれるケースが多いです。紹介してきた内容は一部であり、宗派などにより異なる部分もありますが、紹介してきた中でもいろいろな意味・手続きがあり、人が一人亡くなり、その家族や親しい人に命のバトンをつなげて、けじめをつけていくためのも重要なものです。
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