ダブルケアとは、育児と介護を同時に抱える状況を指し、近年、ダブルケアに悩む「ダブルケアラー」と呼ばれる人が増えています。出産年齢の高齢化や核家族化、家族や親族との関係の希薄化により、家族の支援が難しい状況が増え、負担が限界に達するダブルケアラーも少なくありません。この記事では、ダブルケアの基本的な定義から、抱える負担、社会的な支援の必要性、そして根本的な社会課題までを詳しく解説し、ダブルケアについて理解を深めていただける内容となっています。
このページの目次
ダブルケアとは?
ダブルケアとは、育児と介護を同時に行う必要がある状況を指します。例えば、子育て中に親の介護が必要になったり、兄弟や親族のサポートを同時に行う必要がある場合です。このような状態に置かれる人は「ダブルケアラー」と呼ばれ、身体的にも精神的にも大きな負担がかかるため、多くの人が「限界」や「疲労」を感じています。
就業構造基本調査の概要とダブルケアの抽出方法等 ,育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書のポイント,内閣府ホーム,内閣府男女共同参画局
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ダブルケアが増えている理由
ダブルケアが増えている理由は様々ありますが、日本の社会的な変化として以下のようなことが理由として考えられます。
出産年齢の高齢化
出産年齢が上がっている現在、親の介護が必要になるタイミングと子育てのピークが重なるケースが多く見られます。そのため、育児をしながら介護の責任も同時に担わなければならない状況が増えてきました。
核家族化と家族・親族の希薄化
かつては親や兄弟姉妹などが近くに住んでサポートできる環境が一般的でしたが、核家族化が進む現代では、家族や親族による支援が得られないことも多いです。そのため、育児も介護も一人で抱え込むことが少なくありません。
介護サービスの限界
介護保険制度は整備されていますが、介護サービスの利用にも限界があり、すべての負担を代わってもらうことは難しいのが現状です。ダブルケアラーは、育児・介護それぞれの負担が単純に「二重」になるのではなく、想像以上の時間的・経済的負担がかかります。
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ダブルケアを行う人が多い年齢
ダブルケアを行う人の平均年齢は男女ともに40歳前後で、育児のみを行う人に比べて4~5歳ほど高く、介護のみを行う人よりも約20歳若い傾向にあります。特に、30代から40代に集中しており、男女ともにこの年齢層が全体の約8割を占めています。この年齢層の分布は、育児のみを行う人の年齢層とほぼ同じです。
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ダブルケアによる影響と限界
ダブルケアを担う人々は、日々の育児や介護に多くの時間を費やし、十分な休息を取ることが難しくなります。これが慢性的な疲労感やストレスとなり、身体や精神面での健康にも悪影響を及ぼします。特に、ダブルケアラーは自分の時間を確保することが難しいため、燃え尽きや孤独感を感じやすくなり、時には「限界」と感じることさえあります。
男女共同参画局の調査によると「病院・老人福祉施設等が利用できなかった 」「勤め先の勤務条件では両立が難しかった」「子育てや介護は自分でやるべきと考えているから」「家族の支援が十分に得られなかった」「育児サービスが利用できなかった」などの理由により、ダブルケアに直面して業務量や労働時間を減らしたという割合が多いという結果が出ています。
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ダブルケアラーを支援する社会の仕組み
ダブルケアラーが抱える負担を軽減するためには、社会全体で支援が求められます。
育児の面では、保育施設などの充実と、子育て・介護費用の負担軽減(経済的支援)が最も行政に充実してほしいと思う支援策として挙げられていました。
その他、一般的にはダブルケアのサポートについては以下のようなものが挙げられますが、調査結果からもわかるように、サポートを受けるための金銭的な面での障害が大きいことがわかります。
地域や行政によるサポート
ダブルケアラーが利用できる一時保育やデイサービスなどの利用促進、または介護者同士の交流の場の提供など、社会的な息抜きや情報交換ができる機会の充実が必要です。
企業の柔軟な働き方支援
ダブルケアラーが無理なく仕事を続けられるよう、テレワークやフレックス制度など、働き方を柔軟にする制度が企業側にも求められます。
ダブルケアに関する情報提供と相談窓口の整備
ダブルケアに関する知識を広め、困ったときに頼れる窓口の整備が必要です。また、ダブルケアの負担を少しでも軽減するための具体的な方法や、制度利用のアドバイスが得られる場も重要です。
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ダブルケアの根本的な課題を見つめる
ダブルケアが今後も続くと考えられる理由には、核家族化や少子高齢化の影響が大きく関係しています。また、社会全体として「家族」が担う役割が希薄化する一方で、高齢化により介護が必要な人が増えていることも、ダブルケアの問題をさらに深刻なものにしています。特に現代では高齢化により介護サービスについては量的に利用しやすい状況になっていますが、若者世代に対しての保育サービスは利用条件が厳しいことや、量的にも不足していること、利用時間が限定されていること、子どもが病気になったり体調が悪いときには頼れる先がないことなど、不十分という意見が多いです。
金銭的な面の問題も大きく、若者が貧困で経済的に安心感がなく、結婚や出産が遅くなる傾向が強いことも大きな要因です。
20代で結婚・出産をした場合には、30代~40代で育児をある程度終え、そのころはまだ親は60代くらいです。育児と介護が丸被りするということはあまりないですし、出費や精神的な負担も分散されます。
金銭的な理由や心境で若いうちに結婚するという機会を逃すことが無いよう、若年層に対しても所得を増やして経済的に安定、安心した状態を作ることが必要です。また、金銭的に余裕があるならば、行政や民間の支援サービスやサポートも利用しやすくなります。今の日本の政策では、安心してライフプランを描けないということ大きな課題と考えられます。
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ダブルケアを抱える人の事例
ダブルケアラーの方は、育児と介護を同時に抱える中で、「どちらも中途半端になってしまう」といった思いを抱え、精神的な負担を感じている方が多くいます。周囲に介護の話をしづらい、介護の大変さを理解してもらえないといった孤独感も強く、なかなか悩みを吐き出せない状況が続くことも少なくありません。
介護も育児も「自分がやるべきもの」として引き受ける覚悟を持っている一方で、子どもに負担をかけたくないと願いながら、自身のキャリアや生活を犠牲にせざるを得ないことへの葛藤もあります。
例えば、大学で働く40代のAさんは、70代の義父が突然要介護状態となった際、在宅介護か施設入所かという選択を迫られ、義父の希望を優先して在宅介護を選びました。同時期に実母も認知症と診断され、仕事後には両親のサポートのために実家にも通う日々。さらに、思春期の長男が不登校になり、そのケアにも取り組むなど、仕事、義父の介護、実母の支援、長男のサポート、そして愛犬のケアと、複数の役割を抱えて奮闘しています。しかし「家族は大切。でも自分もつらい」と感じながらも、周囲に打ち明けられないまま、無我夢中でケアを続けています。
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まとめ
ダブルケアをしている方は、親として、子として、働く人として複数の役割を同時に担い、家庭と職場の間で自分の限界を試され続けているのです。「一人で抱え込まず、少しでも支えを求める勇気を持つことが大切だ」とのメッセージが、ダブルケアラーの皆さんの負担を少しでも軽くし、支援や理解の輪が広がることを願っています。
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