アルコール依存症の症状・経過・治療 家族・介護職が行う支援

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アルコール依存症に代表される「薬物依存」は、依存、乱用、中毒などの障害をもたらし、日常生活を送ることが困難化することも多いです。しかし、アルコール依存を治療したいと自ら受診するということは少なく、多くは家族などの人が飲酒の問題に困って相談にくることが多いと言われます。
アルコール依存の患者の家族や介護で関わる時に、アルコール依存がどのようなものなのかをざっくりと取り上げます。経過や治療など、一般的な内容を取り上げていますが、実際に関わるときには主治医の指示に従って進めるようにしてください。

薬物依存とは(WHO定義)

薬物依存とは、「生体と薬物の相互作用の結果生じた生体の精神的あるいは精神・身体的状態であり、その特徴としてあらわれるのは、薬物の精神的効果を体験するために、また、ときに禁断による苦痛を回避するために、薬物を連続的あるいは周期的に摂取する脅迫的衝動を常に含んだ行動面その他に見られる反応である」と定義されています。

精神依存

作用する物質がもたらす快楽のため、その物質を周期的・継続的に摂取しようとする欲望のこと。

身体依存

正常な身体機能を保つために常に一定量以上の物質摂取が必要になっている状態のこと。摂取することを中止や減量すると、離脱症状が出現する状態。

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アルコール依存の症状・経過

アルコール依存は、戦後に飲酒が増大し男性に多い傾向がありました。その後も大量飲酒者は増加傾向にありますが、受診していない、もしくは受診をさせることが困難なアルコール依存が多いと言われています。アルコール依存の状態ではなくとも、アルコールの大量摂取で生じる急性アルコール中毒についても取り上げます。

急性アルコール中毒

アルコールは中枢神経抑制と作用があり、アルコール血中濃度が高くなるとその作用が強く出ます。
アルコール依存ではない人も、アルコールの摂取により中毒症状がでることはしばしばあります。

急性アルコール中毒の血中濃度と症状

単純酩酊の5期 血中濃度 症状・様子
亜臨床期 40mg/dl 特に問題無し
発揚期 100~150mg/dl 多弁、上機嫌、不機嫌
酩酊期 200~300mg/dl ろれつが回らない、ふらふら
泥酔期 300~400mg/dl 起きてられない、傾眠
昏睡期 400~500mg/dl 昏睡、呼吸停止で死亡のおそれ

単純酩酊と比較して酔いの量や質の程度が異なるものを、複雑酩酊や病的酩酊といいます。複雑酩酊は酒乱と言われるタイプで興奮が非常に激しく攻撃や性的露出などが出現します。病的酩酊では意識障害が急激に起こり、周りから理解されにくいような不安・幻覚・せん妄などの精神病的反応が起き記憶は無いというタイプです。

アルコール依存症の経過

アルコール依存は普通の飲酒習慣から徐々に進行します。日本酒換算で1日4合以上を5年~10年摂取し続けるとアルコール性の記憶欠落が見られ出します。
最初のころはアルコールによるリラックス、いやなことを忘れられる、入眠などの精神的効果を期待して飲みだすことも有りますが、アルコールが欠如した時に不快になり、その回避のために常にアルコールを摂取したい状態になります。
更に進むと、飲酒したい気持ちが抑えられず、飲酒の効果や楽しみとなどの考えは失われ、飲み続けることか完全に断酒するかしかできない状態になります。
アルコールは飲み慣れて耐性ができる為、徐々にアルコールの耐性が高まることと合わせて、断酒した時の離脱症状が強まり、日中も飲酒する生活習慣となり社会生活の困難が生じます。
約束が守れない、借金、家庭崩壊などが起こり、そのために断酒などを試みても挫折するということが増えます。
挫折から更にアルコール中心の行動になり、アルコール以外への関心が無くなっていきます。
アルコール依存の慢性期になると、アルコールが切れた時に精神面が抑制され単純なこともできなくなります。
アルコール依存では、アルコールそのものの原因や、アルコール依存による身体や精神障害などで死亡するケースもあります。

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アルコール依存の治療と家族・介護職・ケアマジャーの関わり

アルコール依存症では、薬物療法、精神療法、家族療法などの治療が行われます。離脱症状が強いと断酒は困難であるため入院治療もありますが、単に入院させて断酒するというものではなく、飲酒により偏った栄養面などを検査しながら体内のバランスを整えたり、精神面、その他の合併症など慎重に進められます。
アルコール依存では、精神依存からの脱却が目標となりますが、それには断酒の動機を認識し、断酒への意思が維持される必要があります。治療段階に入っているアルコール依存患者に家族や介護職、介護施設などで関わるときは断酒への意思を持続させることが大切と言えます。また、訪問介護やケアマネジャーとして介入する場合には、本人の状態と合わせて、家族や身近な人の精神面・外傷などの状態や、物損、酒類が無いかなどの確認も役割になることも有ります。支援方法ついて主治医から十分に情報共有してもらうことが、本人の断酒への意思を通しやすい環境作りや、家庭や社会生活へ復帰するためのリハビリにつながります。

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