こども家庭ソーシャルワーカー資格とは?費用や受験要件の研修など

こども家庭ソーシャルワーカー資格は、2024年度から開始されるこどもとその家族を支える専門職のための認定資格です。近年、児童虐待や子育てに関する相談件数が増加する中、こども家庭福祉の専門性を高めることを目的として、2022年6月の児童福祉法改正により創設されました。現代に必要な知見ではありますが、高額な研修を受けることが必須の受験要件になっていることや、そのための補助がこども家庭庁から発表されていることなど、資格認定機関、研修教育機関などが潤う仕組みになっていることが問題視されています。

こども家庭ソーシャルワーカー資格を取得することで、こどもを中心に据えた支援を行うための知識とスキルを身につけ、より適切なサポートを提供できるようになります。本記事では、こども家庭ソーシャルワーカー資格の概要、受験要件、研修内容、費用 について詳しく解説します。資格取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

こども家庭ソーシャルワーカー資格とは?

こども家庭ソーシャルワーカー資格 とは、こども家庭福祉分野で働くソーシャルワーカーの専門性向上を目的とした認定資格です。すべてのこどもが将来にわたって健やかで幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指し、こどもとその家族を支援する専門職のための認定資格です。

こども家庭ソーシャルワーカー は、こどもを中心に据え、こどもたちの権利を尊重しながら、家庭や地域での生活を支える役割を担います。児童虐待の相談件数の増加など、子育てに困難を抱える家庭の課題が顕在化していることを受け、2022年6月に児童福祉法が改正 されました。その改正の一環として、こども家庭福祉の実務者の専門性向上を目的に、この資格が創設 されました。

こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト 資格取得までの流れ

こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト 資格取得までの流れ

資格の認定機関である 一般財団法人日本ソーシャルワークセンター は、研修認定、試験の実施、資格者登録などを行い、より専門的な支援ができる人材の育成を進めています。この資格を取得することで、こどもと家族を支援するための専門的な知識とスキルを身につけ、社会福祉の現場でより適切な支援を行うことが可能になります。

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こども家庭ソーシャルワーカーの専門性

  • こども家庭福祉を担うソーシャルワークの専門職としての姿勢を培い維持すること
  • こどもの発達と養育環境等のこどもを取り巻く環境を理解すること
  • こどもや家庭への支援の方法を理解・実践できること

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こども家庭ソーシャルワーカーの受験資格

児童福祉法施行規則において定められた以下の①から④のいずれかの受験要件を満たし、かつ受験申込時において受験に必要な研修を修了していることが必要です。ただし、いずれの研修も当センターが認定したものに限ります。

① 社会福祉士又は精神保健福祉士として、第五条の三第一項に規定する指定施設(次号及び第三号において「指定施設」という。)において二年以上主として児童の福祉に係る相談援助業務(児童その他の者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行う業務をいう。以下同じ。)に従事した者

② 社会福祉士又は精神保健福祉士として、指定施設において二年以上児童の福祉に係る相談援助業務を含む業務に従事した者(前号に掲げる者を除く。)

③ 指定施設において四年以上主として児童の福祉に係る相談援助業務に従事した者

④ 保育士として、保育所、幼保連携型認定こども園その他これらに準ずる施設において四年以上児童の福祉に係る相談援助業務を含む業務に従事した者

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こども家庭ソーシャルワーカーの受講要件審査料・研修受講料

資格試験の受験資格を得るには、認定を受けた研修を修了する必要があります。認定された研修実施機関から受講する研修を選ぶことが可能ですが、一部の例を挙げると以下のような費用がかかります。

日本福祉教育専門学校の場合

受講要件審査

第3号・第4号ルート : 20,000円(税込)

ソーシャルワーク研修受講料

第3号ルート : 240,000円(税込)
第4号ルート : 420,000円(税込)

こども家庭ソーシャルワーカー取得促進事業(補助金)

こども家庭庁はこども家庭ソーシャルワーカー取得促進事業として「こども家庭ソーシャルワーカーの受講対象となる職員が資格取得のための研修に参加する場合に、研修受講料、研修受講に係る旅費、研修受講者の勤務先において研修受講期間中の代替職員を確保するための雇上費を補助する。」と示しています。

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こども家庭ソーシャルワーカー資格認定試験の受験手数料

第1回こども家庭ソーシャルワーカー資格認定試験の受験手数料は、25,000 円(税込)となっています。

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こども家庭ソーシャルワーカー資格認定試験の出題形式・試験範囲・合格基準

(1)出題形式

① 4 科目・64 問
② 筆記試験(マークシート形式)
③ 問題用紙 A4 冊子

(2)試験範囲(科目ごとの問題数)

① 「こども家庭福祉」18 問
② 「関連知識」14 問
③ 「こども家庭福祉とソーシャルワーク(総合)」20 問
④ 「ソーシャルワーク」12 問

(3)合格基準

次の 2 件の条件を満たした者を合格とします。
① 問題の総得点の 60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者
② 上記①を満たした者のうち、4 科目全てにおいて得点があった者

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こども家庭ソーシャルワーカー資格の取得方法

こども家庭ソーシャルワーカーの取得希望者は、受講したい研修を選択し、研修実施機関に受講申込を行います。
また、所定の研修を修了したのち、センターが行う資格認定試験を受験します。試験に合格したら、センターに資格の登録を行います。資格取得のルートは、第1号から第4号までの4つです。

こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト 資格取得までの流れ

こども家庭ソーシャルワーカー認定資格特設サイト 資格取得までの流れ

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こども家庭ソーシャルワーカー資格取得の流れ

こども家庭ソーシャルワーカー資格取得のためには、所持している資格、児童福祉に係る相談援助実務経験、機関種別や職種、経験年数等が定められています。いずれの場合も試験を受けるためには約100時間の指定研修が必要となります。

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こども家庭ソーシャルワーカー資格の100時間の法定研修内容

  • こどもの権利擁護
  • こども家庭福祉分野のソーシャルワーク専門職の役割
  • こども家庭福祉 (こども家庭をとりまく環境と支援)
  • こども家庭福祉Ⅱ (保護者や家族の理解)
  • こども家庭福祉Ⅲ(精神保健の課題と支援)
  • こども家庭福祉IV (行政の役割と法制度)
  • こどもの身体的発達等、母子保健と小児医療の基礎
  • こどもの心理的発達と心理的支援
  • 児童虐待の理解
  • 少年非行
  • 社会的養護と自立支援
  • 貧困に対する支援
  • 保育
  • 教育
  • こども家庭福祉とソーシャルワーク (多様なニーズをもつこどもや家庭へのソーシャルワーク)
  • こども家庭福祉とソーシャルワークⅡ (こどもの安全確保を目的とした緊急的な対応に関するソーシャルワーク)
  • こども家庭福祉とソーシャルワークⅢ (地域を基盤とした多職種・多機関連携による包括的支援体制の構築)
  • こども家庭福祉とソーシャルワークIV (組織の運営管理)

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認定機関の一般財団法人 日本ソーシャルワークセンターとは?

一般財団法人 日本ソーシャルワークセンターは、2023年12月26日付で「こども家庭ソーシャルワーカーの知識及び技術についての審査・証明事業」を行う法人として、こども家庭庁長官より認定されました。

一般財団法人日本ソーシャルワークセンターの代表者は、日本の社会福祉学者で、大阪市立大学名誉教授、桜美林大学教授、国際医療福祉大学大学院教授、四日市福祉専門学校学校長などを歴任し、「認定ケアマネジャー」の資格を創設した日本ケアマネジメント学会などの各種組織で代表を勤めた白澤 政和氏です。いわば、地域包括ケアシステムや地域共生社会の専門家であり、一方では社会福祉関連の資格創設や研修、書籍などを数多く経験した人物です。

さらに、今回こども家庭ソーシャルワーカー資格の認定資格運営機関の一般財団法人日本ソーシャルワークセンターは、この手の資格でよく言われる「資質向上」と「啓発」の事業を行うためにある

一般財団法人日本ソーシャルワークセンターの目的と事業

目的「ソーシャルワーク専門職の資質の向上を図るとともにソーシャルワークの普及啓発等の事業を行い、もって人々の権利の擁護及び社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」

事業

  • ソーシャルワークに携わる者の研修(認定含む)事業
  • ソーシャルワーク専門職の資格に係る試験及び登録等に関する事業
  • その他本センターの目的を達成するために必要な事業

日本ソーシャルワークセンター特定商取引法に基づく表記

まとめ

この記事では、こども家庭ソーシャルワーカー資格について紹介しました。

こども家庭福祉分野で働くソーシャルワーカーの専門性向上を目的とした認定資格となっていますが、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持った上で、さらに100時間の研修を経て受験ができるというものになっています。資格を取得するためには必ず100時間の指定研修を受けなくてはならず、その費用は数十万円かかるというものになっています。認定を行う子ども家庭庁はこの資格取得に関してほとんどの費用に補助金を出し、資格取得を促していくという方針を示していますが、その形式の場合にはほぼこの研修のために設立されたと考えられる一般財団法人 日本ソーシャルワークセンターという団体と、認定研修機関にそのまま補助金が流れる形になります。日本ソーシャルワークセンターという団体の事業内容は、研修と資格関連事業なので、また一つ利権が増えたような印象を持ってしまいます。

おそらくこの補助金で資格取得を促すという形は問題視されることになると思うので、こども家庭ソーシャルワーカー資格を取得することを考えている場合には補助金があるうちに資格取得をした方が良いとは思いますが、その後の登録料や資格を維持するための更新などがあるかなどについては明言されておらず研修ありきで作られたような不透明な資格制度となっています。第1回の資格試験は2025年3月9日(日)ですので、今後の進展に注目が集まります。

 

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