廃用症候群を防ぐために ICFで問題点を見つけて介護予防

B!

今回は、廃用症候群・介護予防をテーマに、ICFを活用してどう考えを展開して支援をしていくと良いかを理学療法士・介護支援専門員の立場で考えます。

廃用症候群とは


廃用症候群とは、一般的には寝たきりなどで安静にし過ぎて活動性が低下してしまった人の体に様々な機能低下を生じた状態のことを言います。
廃用症候群には筋萎縮、拘縮、褥瘡、心肺機能低下(起立性低血圧)、骨萎縮、認知機能低下、誤嚥性肺炎、血栓症など様々な症状があります。

介護職員の介護過程の展開

廃用症候群を防ぐためにも、問題点(ニーズ)を明確化することが大切です。
一般的な仕事ではPDCAサイクルといい、介護分野では介護過程、看護分野では看護過程、理学療法士は理学療法プロセス、それぞれ仕事を最適化してより良いものにするためのPDCAサイクルを持っています。

介護過程の手順

  • 情報収集
  • アセスメント(事前評価)
    • 収集した利用者の情報を基にして、利用者が抱える問題点や課題を客観的、かつ総合的に分析します。
  • 課題の抽出・明確化
  • 介護計画の立案
    • ケア目標(短期目標や長期目標)を設定した上で、問題点や課題の解決に向けた介護計画を作成します。
  • 介護・介助の実践・実施
    • 利用者に対し、介護計画を基に介護や支援を実施してみます。
  • 介護計画の評価

廃用症候群を防ぐ介護予防の視点


廃用症候群は使わない機能が落ち、そしてその影響でほかの機能も落ち、活動性がますます低下するという悪循環があります。
「力を出せば出せるでも普段はしない、伸ばせば伸びるでも最近伸ばしてない」という状態が続くと・・・
→ 力が前より出なくなってる、足や背中が伸びなくなってる、できないことが目立つ・危なっかしくなった・・・という状態になります。
このような状態に陥っていることに気付き、早めに対処することが介護予防の視点で大切になります。

ICFとは

WHOは、ICFのことを、人の生活機能と障害について、「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」の3つの次元、および、関連する「健康状態」、「環境因子」、「個人因子」の各構成要素が双方向的な関連をもつ相互作用モデルであると提唱しています。

ICFの正式名称は「International Classification of Functioning, Disability and Health」で、日本語では「国際生活機能分類」と訳されています。ICFでは生きることの全体像を示す「生活機能モデル」を共通の考え方として医学から生活援助、福祉などの立場の人々の間での共通理解・広い視点でその人の生活そのものを把握することに役立つことを目指しています。

ICFで廃用症候群を予防する


廃用症候群は、何かの1つの原因で生活機能全体が不活性になっていることもあります。
高齢者の場合には、原因は多数ある場合もありますし、その因子は多種多様です。
しかし、その真相はICFで整理していくと見つけられるかもしれません。
足腰が弱ったせいで活動性が失われていると誤認されていた方が、実は耳が遠くて人に何回も聞き直すのが恥ずかしいから活動的になれなく社会から疎遠になったケースもあります。
この場合は足腰を鍛えるというアプローチも大切ですが、実は聴力を補い自信をつけるために補聴器という選択が近道だったりするわけです。

介護ではリスク管理の上でホメオスタシスを広げる


ホメオスタシスはストレスや環境の変化から「自己調整可能な範囲」のことです。一般的には血圧、体温、脈拍などがいつも一定に保たれるという生体の恒常性を指します。
高齢者はホメオスタシスの維持が難しくなってくると言われていますし、実際にちょっとしたことで体調を崩したりします。
しかし、ホメオスタシスの範囲も使わないと廃用を起こします。起立性低血圧は、普段寝たままでいることで心臓をはじめとする循環器系が立った姿勢に対応できないことで起きます。
循環器系だけでなく、平衡感覚などの神経機能、足の裏の感覚機能、姿勢を保つ筋力などいろいろな機能がかかわっていて、同時進行で廃用を起こしていきます。

お年寄りは、意識の高い方以外は自分からわざわざ大変な思いをしようとは思いません。
しかし、そのままでは廃用症候群になります。自己調整できる範囲は、やらなければやらないだけどんどん狭まっていきます。
廃用予防の観点、介護保険事業としては、自己調整できない部分が調整できるようにキャパを広げる支援が大切です。

廃用症候群にならないための介護予防・自立支援のポイント

最後に、廃用症候群を防ぐために意識するポイントをまとめます。

廃用症候群にならないためのポイント
  1. ケアマネジャー、相談員(MSW)、退院時サマリーなどの情報・内容をうのみにしない。本当は眠っている能力があって、それらが廃用でなくなるかもしれません。
  2. 全介助という情報があっても、本当に全介助なのか疑ってかかってください。上手な声掛け・補助でできるかもしれません。
  3. 時間がかかっても、1か月に1回くらいは、排泄、移動の安定性、更衣、体洗、入浴、靴の着脱、などをチェックしてみてください。
  4. どこまでならできるか、どれくらい安定しているか、どれくらい時間をかければできるか、どう補助し、条件設定すればやりやすそうかを観察してください。
  5. 家や施設など、自分がかかわる以外の時間はどう過ごしているのかをざっくり教えてもらいましょう。
  6. 医師、看護師、理学療法士、作業療法士、機能訓練指導員に相談してみましょう。

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